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何度も怒られた清水邦広「でも、永野さんは愛がある」“空気をピリッとさせるリベロ”永野健38歳が男子バレー界に残したもの「絶対メダル獲れる」
posted2024/05/14 11:01
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Panasonic PANTHERS
ごった返す、という表現がまさにふさわしい。
5月7日、大型連休が明けた翌日にナショナルトレーニングセンターで行われたバレーボール男子日本代表のキックオフ記者会見には、多くの記者が集まった。選手が入場するたびにシャッター音が響き、これまでは秩序が保たれてきたフォトセッションもスチールカメラとテレビカメラが入り混じってひしめき合う。
その前日、連休最終日の大阪で、ある一人の選手が現役生活に別れを告げた。
パナソニックパンサーズの永野健。38歳。
2009年に日本代表に初選出されてから、リベロとして世界選手権、ワールドカップなど多くの国際大会に出場。2016年リオデジャネイロ五輪最終予選まで、長きに渡り日本の守護神としてコートに立ち続けてきた。
元日本代表リベロの引退
永野の現役引退が発表されたのは、今シーズンを締めくくる黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会を2日後に控えた4月29日だった。多くの選手が寂しさや感謝、それぞれが抱いていた憧れの思いをSNSに記す中、永野自身「まだ実感が湧かない」と最後の大会に臨んだ。結果は惜しくも準優勝。現役ラストマッチはフルセットでの惜敗だっただけに「疲れた」と笑ったが、「勝ちたかった」と悔しさを滲ませながら17年間を振り返った。
「あっちゅう間でしたよ。(パナソニックに加入して)2年目から日本代表に選ばれて、しんどい時もたくさんあったし、結果が出なくて、オリンピックにも出られなかったですけどね。でも、だからといってそれが汚点だとは思わない。僕は、やれることはやりきりました」