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1対5でIWGP王座防衛、成田蓮を酷評…ジョン・モクスリーはなぜ新日本の“ばかげた状況”を受け入れたのか?「人生は後悔の連続。だが…」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2024/05/10 11:07
WWE、AEWに続き、新日本プロレスでも最高王座に就いたジョン・モクスリー。福岡ではハウス・オブ・トーチャーの妨害を受けながら成田蓮を退けた
“師匠”モクスリー超えを誓う海野翔太
38歳のモクスリーの20年のプロレス人生の中で、WWEやAEWに続いて手にしたのがIWGP世界のベルトだった。
モクスリーは日本が好きだ。技は強烈だが、決してクリーンなファイトではない。場外もふんだんに使う。そして流血も辞さない。テーブルも使う。
福岡でも、モクスリーは十字を切ると場外の成田に向けて飛んだ。
「オレはいつリングで死んだっていいと思っている。キャリアは永遠ではないこともわかっている。いつかその時は来る」
だから、やりたいようにやる。後悔がないようにエルボーを叩き込み、首を絞めて、血を流して戦う。最後はデスライダー(DDT)で成田を仕留めた。
IWGP王者モクスリーは言う。
「人生は後悔の連続だとも言える。だが、悔いのない人生を送りたい。オレは心臓が止まるまで戦い続ける」
この日は流血こそなかったが、モクスリーは自由に戦えたことに満足げだった。試合後プレゼンターとしてリングに上がったJR博多シティの前田勇人社長にはヘッドロックなどをサービスした。
「モクスリーがオレを指名してくれたんだ。正面からオマエを超えてやるよ。オマエの血と汗と涙。この新日本プロレスへの想い。チャンピオンとしての偉大さ。オレは尊敬している。ただ、いつまでたっても弟子のままじゃあいられない。オレは次のステップに進むんだ。師匠を超えてIWGP世界ヘビー級チャンピオンになって、新日本プロレスを変えてやるよ」
そう語る海野は5月11日、アメリカ・カリフォルニア州オンタリオTOYOTA ARENA大会でモスクリーにチャレンジする。結果は見てのお楽しみだ。
ただ、ハウス・オブ・トーチャーの首領EVILがこのまま黙っているとは思えない。
モクスリーvs.海野が終われば、その勝者にEVILが何か仕掛けてきそうな気配は十分にある。