プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
1対5でIWGP王座防衛、成田蓮を酷評…ジョン・モクスリーはなぜ新日本の“ばかげた状況”を受け入れたのか?「人生は後悔の連続。だが…」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2024/05/10 11:07
WWE、AEWに続き、新日本プロレスでも最高王座に就いたジョン・モクスリー。福岡ではハウス・オブ・トーチャーの妨害を受けながら成田蓮を退けた
モクスリーは成田に言った。
「試合までオマエは眠ることができないだろう。オマエの人生はこれから変わる。オレの王座を奪いに来るものはこの冷酷な両手で容赦せずに叩きのめす。価値のあるレッスンを経験することになる」
孤軍奮闘のモクスリーを救ったエル・デスペラード
福岡でのIWGP戦は通常のルールで行われたのに、モクスリーが入場中、ゴング前に襲撃されていきなりの無法地帯となってしまった。ハウス・オブ・トーチャーは次から次へとモクスリーを落とし込もうとした。金丸義信、SHO、ディック東郷、EVILが次々にちょっかいを出し続けた。
状況を見かねて飛び込んできた海野も手錠をかけられてバックステージに連れ去られてしまった。リングのライトも消された。海野の手錠を切り、孤軍奮闘していたモクスリーを救ったのが放送席にいたエル・デスペラードだった。昨年、血みどろの激闘を繰り広げた2人には言葉を交わさなくてもわかる不思議な信頼関係がある。プロレスに対する考え方で共感しているからだ。
「日本でIWGP王座防衛をしたってみんなに言えるんだ。これはすごいことだよ。オレの周りにはそんなヤツはいない。オレの国にも数人しかいない。ハードな試合になることはわかっていた。負けないように必死だったよ。1対1の試合がまるで10人タッグのようになってしまった。相手側は5人もいた。こっちは1人、いや1人半か」
「あれほどででたらめな状況は初めてだった。でもジョン・モクスリーは仕留められない。オレなら5人で戦えば、世界中のどのタイトルだって取れるさ。まあ、1人でも取れるけどな。あいつらも出直してこいよ。ノアのやつらも気を付けておけよ」
モクスリーはこのばかげた状況をあえて受け入れている様子もあった。そして、「ノア」と名指しした。どうやら近いうちにノアのリングにも上がるということのようだ。