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「こんな魅力的な19歳、未来しかない」安納サオリが羨んだ女子プロレスラー…スターダム・羽南の“記者もファンも驚かせ続ける”逸材ぶり
posted2024/05/12 17:03
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Essei Hara
「うわ、凄え……」
4月27日のスターダム横浜BUNTAI(旧横浜文化体育館)大会。記者席近くの客席から声が聞こえた。思わず、という感じで漏れた声だ。普段あまりスターダムを取材していない記者仲間も「こんなにいい選手になってたんですね」。
そう言わせたのは羽南。彼女はこの日、安納サオリが持つ“白いベルト”ワンダー・オブ・スターダム王座に挑戦した。敗れはしたものの予想以上の大善戦。とりわけ勝負どころで見せたバックドロップ3連発は、迫力も弧を描くフォームの美しさも抜群だった。
そこからブロックバスターホールド、最大の必殺技であるバックドロップホールドへ。文句なし、トップファイターの闘いぶりだった。
19歳でキャリア7年
柔道を学んでいた小学生時代にスターダム入門。新人時代の安納とも練習したことがあるという。デビューは中学1年生の時、2017年だ。妹の吏南、妃南とともに3姉妹レスラーとして注目された。現在は19歳、この年齢で7年のキャリアがある。
高校生までは地元の栃木から道場、試合会場に通った。プロレスを続けるかどうか、進学するかどうか迷った時期もあるという。
転機の一つは高2の12月。新人王座フューチャー・オブ・スターダムを獲得した。ちょうど、3年のクラス分けのため志望する進路を決める時期だった。
「負けたら進学しようかなとか考えてたんですけど。勝ったので卒業後はプロレス一本でと決めました」
制服からのイメチェンにファンも大騒ぎ
高3の夏までに防衛10回。フューチャー王座の防衛記録を更新した。昨年、高校を卒業すると4月の横浜アリーナ大会からはイメチェンを敢行している。
それまでは黒髪で、コスチュームも学生らしい爽やかなイメージ。制服で記者会見に出席することもあった。そんな羽南が髪を染めて“大人のレスラー”に。その変貌ぶりにファンも大騒ぎ。イメチェンは「まだ若いから」、「学生だから」ではなくトップ戦線で闘っていくという意思表示だった。