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大谷翔平効果で「エンゼルスファン数が巨人超え」の衝撃…大谷人気“一強”が示す「巨人離れ」「野球中継の栄枯盛衰」
text by
内野宗治Muneharu Uchino
photograph byGetty Images
posted2024/05/14 17:01
ドジャース移籍前の2023年12月、スポーツ調査会社のレポートでエンゼルスのファン数が巨人ファンの数を超えたことが明らかになった
2022年、ニューヨークの中心地であるタイムズ・スクエアには、大谷がパッケージの表紙を飾った野球ゲーム「MLB THE SHOW 22」の巨大広告が登場。大谷は『GQ』や『TIME』といった名だたる雑誌の表紙を飾り、2021年にはTIMEが選ぶ「世界で最も影響力のある100人」にも名を連ねた。2023年のWBCに出場したチェコ代表の選手たちは大会前に「対戦を楽しみにしている選手は誰か?」と聞かれ、全員が″Shohei Ohtani″と答えた。同年のMLBオールスターゲームのファン投票で、大谷はリーグ最多の得票数だった(日本からの投票も含まれているが)。そして同年12月、大谷はロサンゼルス・ドジャースと10年総額7億ドル(約1015億円)という「スポーツ史上最高額」で契約を結んだ。
野球はサッカーほど世界的に普及しているスポーツではなく、野球が盛んな地域は主に北米と中南米の一部、そして東アジアに限定される。しかし、その限られた野球界において大谷は、今や世界の誰もが知る正真正銘のグローバルスターなのだ。
野球選手が神になる国、ニッポン
大谷が投手として15勝、打者として34本塁打という超人的な活躍を見せた2022年、日本球界では東京ヤクルトスワローズの若き主砲、村上宗隆が王貞治の記録を超えるシーズン56本塁打を放った。日本プロ野球(NPB)史上最年少で三冠王に輝いた村上は、その神がかり的な打棒を称えるファンやメディアに「村神様」と呼ばれた。はるか昔から「八百万の神」が存在する超多神教の国、日本では野球選手もたやすく「神」になる。
さて、日本で本塁打記録を打ち立てた村上が「神」ならば、アメリカでMVPをすでに2度、いずれも満票で受賞している大谷は「神々のなかの神」とでも言うべき存在だろう。