酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
筒香嘉智32歳「アメリカで苦闘→いきなり逆転3ラン」の衝撃…青木宣親、黒田博樹ら日本人メジャーリーガー“NPB復帰戦”と比べてもド派手
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/09 17:03
ハマスタ復帰戦で文字通りヒーローとなった筒香嘉智。日本人メジャーリーガーのNPB復帰戦成績と比べてみると?
1年目は15勝、2年目は18勝と活躍したが、次第に成績が低下。2011年にはトミー・ジョン手術を受ける。インディアンス傘下、メッツを経て2015年にソフトバンクに入団。しかしこの年は右肩の故障のため投げることができず、2016年の最終戦の8回に登板したが、3被安打2与四球2与死球で自責点5、往時の姿はなかった。その後、中日を経て最後は古巣の西武に戻って2021年に引退した。
★青木宣親(ヤクルト)2018年3月30日 横浜スタジアム 横浜戦
NPB史上初めて2度の「シーズン200本安打」、首位打者3回を記録した青木は、2012年ポスティングシステムでブルワーズに移籍。打率3割はマークできなかったが、毎年のように.280以上を記録し、ロイヤルズ、ジャイアンツ、マリナーズ、アストロズ、ブルージェイズ、メッツと移籍を重ね、2018年にヤクルトに復帰。この年2月の沖縄県浦添市のキャンプでは「アラボーイ!」と元気に叫ぶ姿が見られた。
3月30日の開幕戦では、4番中堅で出場し、8回にタイムリーヒットを打つ。すでに36歳だったがこのシーズンの打率.327をマーク。40歳を超えた今年も現役としてチームを引っ張っている。
田中将大の復帰はコロナ禍だったゆえ…
★田中将大(楽天)2021年4月17日 東京ドーム 日本ハム戦
2013年空前の24勝0敗という成績を残し楽天を初優勝に導いた田中は、このオフにポスティングシステムでヤンキースに移籍。2014年は先輩の黒田博樹とともに二けた勝利を記録、イチローもチームメイトだった。以後、6年連続で二けた勝利。コロナ禍の2020年もローテを維持したが、オフにFAとなり楽天復帰が決まる。
コロナ禍で入場が規制された東京ドームの観客は9985人。立ち上がり2死を取ってから近藤健介を歩かせ、中田翔に左中間へ本塁打を打たれる。5回を投げて自責点3で負け投手。しかしそれ以降はローテを維持、援護に恵まれない中4勝。以後も先発として活躍。日米通算で197勝となっているが、今季はまだ登板がない。
こうしてみると、復帰した試合で多くの選手はそれなりに存在感を示している。しかしハマスタが熱狂に包まれたように――今回の筒香のような派手な「復帰劇」をした選手はこれまでいなかった。
筒香嘉智はまだ32歳であり、選手として、もうひと働きできるはずだ。また野球指導に一家言のある筒香には、指導者としても期待したい。