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「2ポイントの減点。それならやろう」“禁止技”バックフリップを使用、話題のシャオ・イム・ファに聞いた真意「自己流は絶対にダメ」《独占》
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura/Getty Images
posted2024/04/30 11:03
バックフリップの使用や世界選手権での逆転劇でも今季の話題をさらったフランスのシャオ・イム・ファ
「それは良いことだけど、一番大事なのは安全な方法で学ぶこと。自己流でやろうとしては絶対にダメです。準備ができていなければ、やるべきじゃない。他のジャンプもそうですが、準備のできていない子供にいきなり3アクセルや4回転をやらせませんよね。それと同じです」
同じくISU総会で、フリーのジャンプ要素を7本から6本へと減らす提案も出されている。それによって生まれる時間の余裕はおよそ15秒と言われているが、これについてはどう思うのか。
「フリーはジャンプ、ジャンプなので、ステップシークエンスを別にすると本当の振付を見せる時間がなかった。だからこれは良いことかもしれません」
現在は4アクセルに挑戦中
現在彼はルッツ、サルコウ、トウループの4回転をプログラムに入れているが、何か新しい技を練習しているのだろうか。
「4アクセルを練習しています。実は18歳くらいから練習していたのですが、一度ひどい転倒をして足首を負傷したので中断していました。でも今はどう準備をしていくのかわかっているので、時間はかかるかもしれないけど、できるようになると思います」。もし成功したら、マリニンに次いで史上2人目になる。
2026年のミラノオリンピックまで、世界のトップはマリニンと彼、そして日本男子勢の戦いになっていきそうだ。
「彼らとはジュニア時代から一緒に試合に出てきて、お互いをプッシュし合ってきた良いライバル。特にイリアとは『アート・オン・アイス』の時に一緒に練習する機会があって、とても刺激を受けました」
「ギターが趣味のトライリンガル」シャオ・イム・ファの素顔
スケート以外はどんなことに時間を使うのか。そう聞くと、現在オンラインでコミュニケーションとグラフィックデザインを学んでいることを教えてくれた。ブログを作って、スケート以外の日常や旅行の記録などをまとめたいのだという。学業以外ではギターで、歌とピアノも学び始めた。試合の遠征には、エレクトリックギターを持っていく。
彼はフランス生まれだが、両親はインド洋に浮かぶモーリシャス共和国出身。親しみのわく優しいアジア系の容貌は中国系の祖父母から受け継いだものだが、中国語は全然わからないと笑う。フランス語、家族で使っていたクレオール語、英語のトライリンガルだが、今は韓国語とロシア語を学び始めた。「日本語も学びたいのですが、韓国語と比べてみて、日本語の方が難しそうだったので断念したんです」と、笑顔を見せた。