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「巨人入り決定的」報道も「惑わされることはなかった」DeNA編成トップに聞いた、悲願の筒香嘉智「復帰計画」が成就するまで
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2024/04/27 11:07
18日に行われた筒香嘉智のDeNA入団会見。DeNAの編成トップの任を務めるチーム統括本部本部長が入団決定に至るまでを振り返る
「正直申し上げて他球団のことはわかりませんが、その報道が出た時に我々は旧知である代理人と交渉中でしたし、筒香選手も含め信頼関係がある以上、あまり惑わされるということはありませんでした」
萩原氏は確信を込めてそう語ると、次のように続けた。
「ただ、改めて筒香選手の注目度は桁違いだと認識をしました。やはり彼は特別な選手ですし、そういった混乱が起こるのも、また必然だったような気がします。とはいえ、我々としては不確かな情報に流されず、その状況を、ある種冷静に見ていた部分はありました」
緊張の糸がずっと張り詰めていた
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DeNAとしては、できるかぎりの条件を提示し、幾度となく交渉を進めた。そして16日にDeNAから筒香獲得が公式に発表された。
「15日の朝に筒香選手から直接『決めました』という連絡をもらいました。正直、緊張の糸がずっと張り詰めていたので、喜びというよりは、すごくほっとしたのを覚えています。交渉に関しては、我々ができるベストを提示し、何度もやり取りをしながら、細かい部分を詰めていった感じですね」
お互いに進化してきた
交渉内容は、単に金銭面だけではなかった。詳しい内容は明かされなかったが、筒香は故郷の和歌山に自費でアカデミーを設立するなど野球の未来を憂い、この素晴らしいスポーツ文化を将来に繋げていくことがライフワークになっている。その分野において、DeNAとしてできるかぎりの協力をしていくことも協議されたという。
「一緒に野球の未来を考えていく仲間として話し合いをすることができました。改めて4年半前と比べ、筒香選手は非常に“進化”しているなと感じています。メジャーやマイナー、独立リーグなどでいろいろな経験をしたことで、視点が大きく変わっていると見て取れましたし、我々も筒香選手の不在中に“進化”してきた自負はあり、お互い非常に共通するものがあるなと思いました」
やっと俺の仕事が全部終わった気がした
以前の在籍時とは異なる、新たな関係構築。選手としてだけではなく、一人の野球人として、筒香の存在はスケールが大きなものになっていた。ゆえにDeNAとしては、決して手放すことのできない選手でもあった。