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「人生、面白くないですよ」“スターダムのアイコン”岩谷麻優が憂鬱そうに…Sareee戦前に漂わせた“不穏な気配”「普通の試合にはならない」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2024/04/21 11:04
4月27日にIWGP女子王座戦を控え、どこか物憂げな岩谷麻優。挑戦者Sareeeを迎え撃つにあたり「普通の試合にだけはならない」と予告した
「プライベートで接点ないから」と岩谷は付け加えた。だから、情は湧かないということだろう。
「BUNTAIのリングで、1対1で向き合って会話する。ちょっとやるのは怖いですけどね」
岩谷にしては珍しい言葉だ。
「ドロドロ、バチバチしたものになるんじゃないかな」
20分のタッグマッチだったが、2019年12月、岩谷はSareeeの自主興行のリングに上がって一度だけ対戦している。岩谷、彩羽組vs.Sareee、朱里組というカードだった。でも、シングルマッチは違う。
あの頃、岩谷は痛みの中で新しい相手に出逢えたことを喜んでいた。だが、不思議なもので時間は印象を変えていく。
「私たちっていろいろ遅れてきたと思うし、すごく上に行くまでに時間がかかった。苦労してきたんじゃないかなと思っています。でも、今こうして残っているのは私たち。雑草のように踏まれても諦めず立ち上がり続けてきた2人だなと、今、感じている。ここまでたどり着いて、IWGP女子王座をかけてタイトルマッチをする。私たちのそれぞれ歩んできたプロレス人生、そして絶対に譲ることのできないプライド。横浜BUNTAIで、私たち2人、すべてを正々堂々リングでぶつけ合おうよ、よろしく」
記者会見で、Sareeeはさらっとそう言ってのけた。対して、スターダムのアイコンは語気を強めた。
「Sareeeは『闘魂、闘魂』と言っていて、このベルトができた当初から興味を示していた。もし、ベルト流出になったら『マリーゴールド』でジュリアとやられちゃうかもしれない。そんなことはさせません。Sareeeはフリーだから、どこのリングに上がろうと関係ないですけど、スターダムに来るならスターダムでの試合を私が見せるだけだから。それはプライドじゃないですか。意地です」
岩谷も「同期」としてSareeeを意識している。
「やっぱり、同期というのが気持ち的に強いと思う。2011年にデビューした中で生き残った2人。きれいなプロレスを見せるというよりはドロドロ、バチバチしたものになるんじゃないかな、というイメージはあります」