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水原一平スキャンダルに残された「最後のナゾ」…在米税務コンサルタントが指摘する“会計士の正体”「あれでは職務放棄に近い」
posted2024/04/18 17:00
text by
奥窪優木Yuki Okukubo
photograph by
Getty Images
足枷をつけられたまま無表情に椅子に腰をかける頬のこけた男――。4月12日(現地時間)に、ロサンゼルス連邦地方裁判所で描かれた法廷画には、MLBのスーパースターの腹心から銀行詐欺の罪で訴追されるまでに身を落とした、水原一平容疑者の物悲しい姿が捉えられていた。
その前日には、IRS(内国歳入庁)の特別捜査官を申立人とする水原容疑者の刑事告訴状が公開され、その内容にも衝撃が走った。
水原容疑者が賭博中毒の泥沼に入り込んでいることが伺える、違法ギャンブル業者との生々しいやりとりや、2021年11月から2024年1月までの2年あまりにわたり、大谷の口座から総額1600万ドル(約24億円)に及ぶ預金を横領した悪質な手口が詳細に記されていたからだ。
一方で、賭博への加担疑惑も取り沙汰されていた大谷が「単なる被害者」だったことが証明される結果にもつながった。
巨額横領事件に残された「謎」
しかし、これにて一件落着というにはまだ早そうだ。水原容疑者が起こした巨額横領事件には、今なお燻り続ける謎があるからだ。
「果たして2年超で総額1600万ドルもの資金が消えていることに、大谷サイドは誰も気づかないものなのか――?」
刑事告訴状の内容が報じられると、アメリカのネット掲示板やSNS上ではそんな疑問が次々に投げかけられた。
もちろん水原容疑者が大谷の口座から横領した手口は巧妙かつ狡猾だったのは事実だ。
刑事告訴状によると、大谷名義の銀行口座のひとつ、「x5848」の連絡先として自身の電話番号やメールアドレスを登録。さらに、違法ギャンブル業者への送金を依頼するため、大谷になりすまして銀行の担当者に電話をしていたことも明らかにされている。
また、ドジャースで大谷の同僚でもあるタイラー・グラスノーがウェブメディアのインタビューに対して「アスリートのほとんどは自分の口座をいちいちチェックしたりしない。信頼できる人間たちに全部任せている」と述べたように、大谷本人が気づかないこと自体は十分、あり得ることだろう。