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水原一平スキャンダルに残された「最後のナゾ」…在米税務コンサルタントが指摘する“会計士の正体”「あれでは職務放棄に近い」
text by
奥窪優木Yuki Okukubo
photograph byGetty Images
posted2024/04/18 17:00
元通訳だった水原一平容疑者による巨額の窃盗事件。事態はどんな結末を迎えるのか…?
水原容疑者が盗んだ額は「年間所得に相当」
移籍に際し、ドジャースと7億ドルの巨額契約を交わして話題となった大谷だが、そのほとんどは2034年以降に受け取ることになっている。『MLB.com』や『フォーブス』の報道を総合すると、大谷の2021年から2023年までに得た収入(選手としての年俸+広告出演料など)は、およそ1億ドルと見積もられる。
「カリフォルニア州の高額な所得税や、代理人やマネジメント会社、弁護士や税務スタッフへの支払いを差し引くと、手元に残るのは4000万ドル~5000万ドルの間だったと試算されます。つまり水原容疑者が大谷選手の口座から盗んだ1600万ドルは、この3年間の平均年間所得に相当するほどの額なのです。x5848口座には少なくともそれだけの金額が入金されていたことになる。
告訴状によるとK.F氏はx5848以外の口座の取引履歴は全て把握していたとされているので、x5848口座にどれだけ多額の金額が入金されていたかは、球団サイドから送られてくる源泉徴収票などを確認すればわかるはず。もし水原容疑者の言うように利息や贈与がなかったとしても、口座の資金で不動産を購入していた場合などは節税につなげるアドバイスもする必要がある。仮に大谷選手本人の意思だとしても、それだけの規模の口座を自らの管轄から外すというのは税務コンサルタントとしては職務放棄に近い」(同前)
かつては同じアメリカスポーツ界でも、NBAのスター選手だったケビン・ガーネットが「総額7700万ドル(約115億円)の資産を使い込んだ資産管理人を野放しにしていた」として、資産管理チームの別の会計士を訴えたケースもあった。
最近の大谷の成績を見るに、“水原ショック”からはすでに抜け出したように見えるが、だからこそ「チーム大谷」の今後についても再検証が必要なのかもしれない。