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契約金ゼロ円選手のその後…宅配の夜勤→漁師→たどり着いた「野球塾」の仕事 年商数億円の実業家になったオリックス元選手も
text by
喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byNaoya Sanuki
posted2024/04/29 11:05
2000年代前半、契約金0円でオリックスに入団した選手は引退後、どのような道へ進んだのか。その後を喜瀬雅則氏が取材した
「めちゃくちゃ、オリックスでしょ? なんでオリックスなの、っていうお客さんも結構いますよ」
千葉から、東京から、遠くは茨城からも、野球塾へやって来る。
年商「うん億円」、借金も返済
その生徒数は、今や630人ほど。年商も「うん億円、ですかね」
教え子たちは、甲子園にも続々出場している。
野球塾の会社を購入するためにかかった資金も、すべて返済が終わったという。
コーチとしての手腕はもちろんのこと、ここまでくると、もはや「実業家」だ。
生徒たちも「環境」を求めて、野球塾にやって来るという。
甲子園から名門大学、そして日本のプロ、さらにはメジャーを目指す。
環境なんて自分で作りゃいいじゃんか
その目標から逆算し、小学校や中学校からクラブチームに入り、高いレベルの野球に取り組みながら、野球塾にも来て、個人的な技術のレベルを上げていく。
「時代ですね。中学生とか高校生たちが『環境』って言うんですよね。でも、環境なんて自分で作りゃいいじゃんか、という話もするんです」
プロでやりたい。だから、契約金0円で飛び込むという人生の選択をした高見澤だからこそ、説得力もある。
わずか3年のプロ生活。しかし、苦労を逆手に取ったともいえる野球人生は続いている。
ドラフト同期、契約金0円の高卒選手も訪ねてきた
「ここにも来ましたよ。『どうやってやってるんですか』みたいなね」
そう笑った高見澤のもとへ、高松から高橋が訪ねてきた。