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「契約金は0円です」オリックスの18歳“契約金ゼロ選手”はその後どうなった?「高校生で0円って僕しかいなかった」 

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喜瀬雅則

喜瀬雅則Masanori Kise

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photograph byJIJI PRESS

posted2024/04/29 11:03

「契約金は0円です」オリックスの18歳“契約金ゼロ選手”はその後どうなった?「高校生で0円って僕しかいなかった」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2000年ドラフト8位で指名され、オリックスに入団した高橋浩司。プロ生活を振り返る

 10日間、一軍登録されれば1000万円。以後、10日ごとに100万円ずつ上積みされて、満額だと2000万円という出来高制度になる。

 高校卒のルーキーでも、ファームで結果を出し、有望株と認められれば、1年目からシーズン終盤、順位が確定した後の消化試合に、お試しの形で一軍昇格できるケースもある。

 そうすると「10日間」というのは、簡単ではないが、無理めのハードルでもない。それでも「0円」での入団は、多感な若者には酷なものがある。

「契約金って、なんぼ? いっぱいもらってるんやろ? って言われるんです。いや、俺、ゼロなんやって、当時は若かったというのもあるんですけど、プライドもあったんで、やっぱり言いづらかった面もありますね」

同じ高卒捕手と推定6500万円の差

 日本で「育成選手制度」が正式採用されたのは、2005年(平成17年)のドラフトからだった。育成入団だと契約金はなく、支度金の上限が300万円程度。しかし、れっきとした「システム」がある。チャンスにかけて育成で入った。周りもそう見てくれる。

 ところが、当時はその制度がない。だから、契約金0円という概念もない。

 その年のドラフト3位は上村和裕(現オリックススカウト)だった。

 北海道・北照高出身の捕手で、甲子園にも出場。同じ高校生で同じ捕手だ。

 しかし、実績から来る期待値の差は、契約金と順位の違いとなって表れる。それが、プロ野球という実力の世界での掟だ。

 上村は、契約金6500万円(推定)でプロ入りした。

あいつは3位、お前は8位やから

 初期投資に6500万円をかけた商品と、0円で手に入れた商品に、どちらに多大な期待をかけるかと問われた時の答えは、明快だろう。

 0円の自分の存在の“軽さ”を、高橋は入団直後から知ってしまった。

【次ページ】 二軍監督も毎年のように交代した2000年代前半

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