ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
リングに乱入→何度も失神…MLB永久追放、大谷翔平ファンから“嫌われた英雄”ピート・ローズはなぜプロレス界で愛されたのか?
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byGetty Images
posted2024/04/08 17:01
大谷翔平に皮肉を述べて物議を醸したピート・ローズ
そして野球賭博という悪いことをした堕ちた英雄が、毎回リングでお仕置きされ酷い目に遭う。そんな姿を繰り返し見ていくうちに、大衆はまたピート・ローズを愛せるようになった。
日本ではかつて、スキャンダルを起こしたタレントが、『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』や『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』絶対に笑ってはいけないシリーズに出演し、笑いに変えることでそれが“禊”になったことがあったが、同じようなことがWWEで行われていたのだ。
ダークヒーローはWWEでまさかの殿堂入り
ピート・ローズはその後、ケインとの一連の抗争が評価され、2004年になんとWWE殿堂入りをはたしている。偉大な記録を打ち立てながら米国野球殿堂入りが許されないピート・ローズをせめてプロレスのほうで称えようというWWEの計らいだった。そのインダクター(紹介者、プレゼンテーター)は、他ならぬケインが務めている。
プロレスは倒れても倒れても再び立ち上がる姿を見せるスポーツエンターテインメント。堕ちたヒーローやアウトローを受け入れ再生させることができるのもプロレスという磁場の力であり、なんでもバンプ(受け身)を取ることができるのがプロレスファンの特性でもあるのだ。