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リングに乱入→何度も失神…MLB永久追放、大谷翔平ファンから“嫌われた英雄”ピート・ローズはなぜプロレス界で愛されたのか?
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byGetty Images
posted2024/04/08 17:01
大谷翔平に皮肉を述べて物議を醸したピート・ローズ
ピート・ローズとプロレス界の意外な関係
そんなピート・ローズは、じつはプロレス界とも深い関わりを持っている。世界最大のプロレス団体WWEが、1998年3月に年間最大のイベント『レッスルマニア14』を開催した際、スペシャルリングアナウンサーとして、ピート・ローズを起用したのだ。
タキシード姿でリングに上がり、マイクを握って尊大に振る舞うピート・ローズに対しWWEのオーディエンスはわずかな拍手と大きなブーイングで迎えた。そこに登場したのが、“墓掘り人”アンダーテイカーの“弟”として知られるケインだ。
ケインは公称身長213cmの巨体を誇り、炎をイメージした赤のコスチュームから「ビッグレッドマシン」の異名を持つレスラーだが、ピート・ローズもまた現役時代にレッズの安打製造機として「ビッグレッドマシン」と呼ばれた、言わば「ビッグレッドマシン」の元祖。そのためWWEへの登場も「俺こそが真のビッグレッドマシン。あいつ(ケイン)はニセモノだ」と、いちゃもんをつけていたという伏線があったのだ。
結局、ふたりの「ビッグレッドマシン」がリング上で並び立つやいなや、ケインはピート・ローズの首根っこをつかむとそのまま逆さに抱え上げ、ツームストン・パイルドライバーで容赦なく頭からマットに突き刺し、あわれピート・ローズはそのままリングで失神。担架で運ばれるハメとなる。
何度も失神するローズを、大衆はまた愛した
さらにその1年後の『レッスルマニア16』でピート・ローズは、ケインへの復讐のためにMLBの非公認マスコットキャラクター、サンディエゴ・チキンの着ぐるみを着て変装してリングに乱入。入場時のケインに襲いかかったが、あえなく返り討ちに遭い、再びツームストン・パイルドライバーで失神した。
その後もピート・ローズはWWEにたびたび乱入しては、ケインの逆襲に遭いツームストン・パイルドライバーやチョークスラムで失神。さらに相撲取りキャラのリキシに巨大なお尻を顔面にグリグリ押し付けられたりと、酷い目に遭うのが“お約束”になっていった。