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オドーア巨人電撃退団「メジャー100発超の助っ人、アテにならない説」を検証…日本で464発ローズや60本塁打バレンティンの米通算本数は?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph bySteven Ryan/Getty Images
posted2024/04/01 19:00
ヤンキース時代のオドーア。メジャー通算178本塁打だったものの、開幕前に巨人を電撃退団。“アテにならない”で済まない買い物となった
NPBで最も多くの本塁打を打ち、王貞治に並ぶシーズン55本塁打を打ったタフィ・ローズはMLBでは13本塁打。2位で外国人唯一の2000本安打を打ち、殿堂入りしたアレックス・ラミレスは12本。3位でローズと並ぶ55本を記録したアレックス・カブレラはMLBではわずか5本だった。
さらに4位で王貞治を抜く新記録の60本塁打を打ったウラディミール・バレンティンはMLBでは15本だった。5位で今に至るNPB史上最高の通算打率.320(4000打数以上)をマークしたレロン・リーでも31本しか打っていない。15傑の中にはレオン・リー(レロン・リーの弟)、タイロン・ウッズ、ボビー・マルカーノのようにMLBでプレーしていないマイナーリーガーもいる。
NPB100本塁打以上の外国人のMLB平均は…
NPBで100本塁打以上打った外国人選手は62人いるが、MLBでの本塁打数は平均20.1本に過ぎない。NPBで長く活躍する外国人選手と、MLBで実績ある選手は「別物」と言ってもいい。しかし「どの選手が活躍するか、当たりか」はなかなかわからないから、どうしてもMLBの実績を根拠にしてしまいがちなのだ。
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2020年以降で見ても、MLB通算100本塁打以上の打者は、8人もやってきている。
2020年
ジョーンズ右(オリックス)【MLB】282本 【NPB】16本(159試)
2021年
スモーク両(巨人)【MLB】196本 【NPB】7本(34試)
2022年
ガルビス両(ソフトバンク)【MLB】109本 【NPB】2本(57試)
2023年
フランコ右(楽天)【MLB】130本 【NPB】12本(97試)
ゴンザレス両(オリックス)【MLB】107本 【NPB】12本(85試)
2024年
アギラー右(西武)【MLB】114本 【NPB】?
レイエス右(日本ハム)【MLB】108本 【NPB】?
オドーア左(巨人)【MLB】178本 【NPB】退団
2023年のフランコとゴンザレスは今季も在籍しているが、どちらも存分に活躍したとは言えない。それ以前の3選手はすでにいない。NPBのエース級の投手が、MLBでも通用することはすでに証明済みな一方で、MLBで下り坂になった打者でもNPBでそのまま通用するような時代ではない。
大事なのは、選手の特性や、マインドを見極めることではないか。MLBとNPBの違いを冷静に受け止めて、自ら学び、変わることができる選手が生き残ることができるのだろう。