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甲子園の風BACK NUMBER
松坂大輔のライバル・PL学園4番の長男が横浜に入学! 父・古畑和彦の心境は?「すごく嬉しかった」「松坂に伝えると…」
text by
内田勝治Katsuharu Uchida
photograph byKatsuharu Uchida
posted2024/04/01 11:02
古畑和彦さん(左)と雄大の親子2人。松坂大輔からプレゼントされたグラブを手に、横浜へと入学する
「息子とは会ったこともないのにグラブを作ってもらえるなんて……。すぐに雄大からのお礼動画を撮ってLINEをしたら『わざわざ連絡ありがとう』って。いや、こっちがありがとうじゃないですか(笑)。あれだけの大投手なのに、この器の大きさというか、優しさというか、僕も本当に大好きで尊敬しています」
父も部署異動で新天地へ
長男より一足早く、自身にも環境の変化があった。亜細亜大を卒業後、新卒で明治神宮外苑に入社し、神宮球場の飲食・物販を統括する野球場販売部で長らく働いてきたが、2月からテニスクラブに異動。慣れない職種に戸惑いながらも、43歳は果敢にチャレンジを続けている。
「野球場から離れるということで、若干寂しさはありましたけど、ちょっとずつ慣れてきました。息子と同じく、また新たな挑戦をさせてもらえるので、それはありがたいですね」
父の目線「調子が悪い時に人間の本質が出る」
4月からは高校球児の父となる。親子の夢は、「全国制覇」と「高卒プロ入り」だ。もちろん、簡単ではないことは重々承知している。古畑さんもPL学園で、もがき、苦しみながら、ようやく2年秋に「3番・三塁」の座を獲得。1998年選抜では4番として4強、夏には本塁打を放ち、松坂さんらと高校日本代表に選出されるなど、高校野球界のトップを走り抜けてきたが、その道のりは決して平坦ではなかった。
「横浜はみんな鳴り物入りで入ってきているし、同級生だけではなく、来年以降は下からも凄い選手が入ってくる。これから苦労することの方が多くなってくるとは思うんですけど、調子が悪い時に人間の本質が出てきて、その時にどう戦えるかが勝負になってくる。まずは自分に負けないように、そして家族や友達、これまでの指導者、ご縁を頂いた方々や、応援してくれる人たちのことをしっかりと思い出してやってほしいです」
雄大は当面は寮生活ではなく、都内の自宅から横浜市金沢区内にある高校まで電車で通うことになる。義務教育を終えた息子が、ちょっとずつ自身の手を離れていくことに寂しさはないのだろうか。「全然ですよ。ようやくここまで来ました」。古畑さんはそう言うと、屈託なく笑った。新たなる旅立ち。古畑親子の挑戦は、今まさに始まったばかりだ。
<「息子」編とあわせてお読みください>