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あの星稜が…松井秀喜の時代から激変した“野球部”「大会中スマホ自由」「ミーティングに監督不参加」名将の息子・山下智将監督が語る実情
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKYODO
posted2024/03/23 11:05
センバツ初戦を制した石川・星稜
山下 池袋のサンシャイン(シティプリンス)ホテルと、品川プリンスホテルに分かれるんです。僕らは池袋で、大阪桐蔭と食事とかいつも一緒でしたね。それと、このときはけっこう試合動画が豊富にネット上に上がっていて、携帯で簡単にチェックできた。だったら、この子たちの感性に任せてみようと、私は一切、ミーティングには入りませんでした。ひょっとしたら、コーチは入っていたかもしれませんけど。ただ、生徒にやらせている以上、私も同じだけ分析はしました。試合前、キャプテンにどんな感じのミーティングになったのかを聞いて、足りない部分はちょっと付け加えたりしました。初戦の広陵戦は付け加えた記憶がありますね。ただ、1試合ごとに精度が高くなっていって、決勝ぐらいになったら何も言うことはありませんでしたね。押さえてほしいところはだいたいおさえてくれていたので。
――選手任せのミーティングは選抜大会も継続するのですか。
山下 正直なところ、ここまで大々的に報道されるとは思っていなくて……。任せて、これだけの成果が出たので、そこは認めてあげなきゃいけないと思うんです。なので、一旦はやらせようと思います。ただ、甲子園の宿はうちのチームだけですし、時間にも余裕がある。一旦はやらせて、前日にこちらの分析とすり合わせるぐらいはやろうかなと思っています。
スマホ、SNSの使用ルールは?
――星稜は選手の携帯電話におけるルールはどのように定めているのですか。
山下 うちはけっこう自由です。学校として登校したら電源を切るというルールがあるので、そこは守らないといけませんけど。練習中も学校の一部なので携帯は触れさせないようにしています。ただ、自主練習中は大目に見て、使ってもいいことにしています。バッティングの動画を撮ったりもしたいと思うので。
――大会期間中は?
山下 以前までは夜、回収していたんですけど、それもやめました。フリーです。でないと、動画で必要な情報も集められなくなってしまうので。ただ、夜、動画をずっと観て寝られなくなるようなことはないよう、そこは自分で管理してくれと言っています。
――SNSの使用に関してはどうですか。
山下 そこはめちゃくちゃ気を使っています。うちは原則、LINEだけですね。インスタとか、Xとか、Facebookとかのアカウントを持っていたら入部するときに削除してもらいます。学校では別に禁止していませんけど、部としてそこは相当、神経を使わないといけないところだと思っているので。
〈つづく〉