小学1年生から野球を始め、少年野球チームに入団した当初は投手、外野手、一塁手など様々なポジションをこなしてきた。中学時代は軟式野球部に所属していたが「どれも普通レベルでした」と目立った存在ではなかったと本人は言う。

　神港橘高校では1年秋に初めてベンチ入りし、背番号は10。すぐに先発を任されるほど早い段階から投手陣の一角を担った。

　ずっと目標にしていたのは「速いストレートを武器にできる左腕」だったという。

「高校生の間に140kmは投げられるようになりたいと思っていて。あの頃はまだ体も細かったので、まずは体を大きくしようと思いました」

©Fumi Sawai

高校2年生以降の「体重増」による球速アップ

　2年秋の大会を終えてから筋力トレーニングを本格的に積むようになり、それまでは130km台半ばだったスピードが春には140kmを超えるようになった。

「春になってからずっと受けてもらっていたキャッチャーに、秋までとは明らかに違うと言われました。食事量も増やしたので球に力がついてきたと思うのですが、結果的に夏までに体重が7kg増えました。球が速くなってきたことが大きな自信になって、余裕を持って投げられるようになりました」

　当時、同じ兵庫県内の同級生で全国区だった投手は明石商のエース右腕・中森俊介（ロッテ）だった。

明石商のエースだった中森俊介は同級生ながら「雲の上の存在」だったという。現在は千葉ロッテ所属　©Naoya Sanuki

　2年夏の甲子園で150kmを叩き出した右腕は、金丸の目には眩しくも、同じ高校生なのにどこか遠くにいる存在でしかなかった。

「正直、敵わない相手なので当時は張り合おうとかそういうのはなかったですね。でも、いずれはあれくらいのボールを投げられるようになれたらとは思いました」

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