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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「野手としてやりきった感じはない」中日・根尾昂が率直に明かす、投手転向3年目の心境「自分の中では全部が繋がっている」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHaruka Sato
posted2024/03/05 11:00
キャンプで投球練習を行う根尾。大阪桐蔭から鳴り物入りで入団、プロ6年目、投手として3年目のシーズンを迎える23歳に話を聞いた
「バッターは最悪、自分が打たなくても誰かが活躍すれば勝てる、ということもありますが、ピッチャーは自分が打たれたら勝敗に直結しますからね。試合に関わる重要度は違うと思います。先発は週に1回しか投げないので試合に対する準備という面では時間があるんですが、やっぱりプレッシャーもあるしやるべきことも多い。今はまだそんな余裕はないですけど、俺が投げなきゃ始まらないだろうって思えるピッチャーになりたいなとは思います。(性格は変わった?)どうなんですかね。全然わからないです(笑)。でも高校時代にピッチャーやったり、打席立ったりしていたあの頃の感覚には似ているなと思います」
あのルーティンの意味は?
登板前に独特のポーズをとる。マウンドに上がり、バックスクリーン方向に向かって両手を大きく広げる。漢字の「大」のように全身を伸ばし、大きく深呼吸するのが根尾のルーティンだ。これにはどんな意味があるのか。
「色々なトレーニングの先生の話を聞いたりして、やはり自分の姿勢をコントロールするのに呼吸が一番適しているのかなと思って。ひとつ、ルーティンの一環なんですけど、心をリセットして同じ状態でスタートするっていう感じです」
監督との話で決めたコンバート
2018年ドラフトで、4球団から1位指名を受けてくじ引きの末に中日に入団。大きな注目を集めプロ生活をスタートしたが、ここまでの道のりは波乱万丈だ。遊撃手としてデビューしながら2年目以降は外野手に。2022年4月に遊撃に再コンバートされた後、6月に立浪和義監督が投手転向を打診し、話し合いの末に本人も決断した。
「立浪監督とは(以前から)話をしていたのですが、監督以外の方にそういう話は一切相談していなかったです。練習の一環でピッチングをして、打席立つとバランスが良かったりということもあって……どちらかというとピッチャーの方がチームに貢献できるんじゃないか、という話を監督とたくさんさせていただきました。最終的には自分も納得して決意したという感じです」
今でも内野のノックを1時間くらい受けることもある
客観的に見れば、ドラフト1位選手の育成方針が二転三転してきた状況は幸運とは言えないだろう。「何でも器用にこなせる」万能型だったゆえに振り回されてきたようにも見えるが、根尾はその紆余曲折の道のりについて決して弱音を吐かない。