目指すのはブレイキングダウンのベルト

　勝ちたい自分もいるし、KOしたい自分もいる。あらゆる格闘技に共通することだが“ブレイキングダウンのジレンマ”はより色濃いのだろう。

「技術を使って倒すというのができればいいんですけど、自分はそこまで器用じゃないですし（笑）」

　今年はMMAの試合もしたいと川島。以前から「ブレイキングダウンを背負って他団体に出てみたい」と語っていた。同時にブレイキングダウンのベルトも目指したいという。

「今の一番の目標はブレイキングダウンで自分の階級のベルトができたら、それを獲ることです。第1回大会から出させてもらって、やっぱり自分に合ってるなと思うので。この舞台で頂点を極めたいという気持ちが強いです」

　今回の試合も、敗れはしたが手応えはあった。

「この階級のトップはポーランドさんか飯田（将成）さんかと言われてた中で、今回の試合で“闘えるな”という感覚は掴めました。あとは本当に自分しだいです」

“不良の乱闘”だけではないブレイキングダウンの競技性

　いま川島が求めているのは、もう一段上のレベルにある自分らしさ、ブレイキングダウンらしさだ。東京に出てよりハイレベルな練習環境に変えるのも一つの手だろう。だが川島は「群馬の人間、館林の人間が頑張ってるぞ、結果出したぞというのを前面に出したい」と言う。

　館林は決して大きな町ではない。だからこそ、応援してくれる人たちとの親密感がある。後押しされていることを実感できる。練習内容にも不満はない。地元にいるから得られる強さもあると川島は考えている。

　仕事は医療系廃棄物の運搬。現在は社員からアルバイト扱いに変わって、練習時間も確保しやすくなったそうだ。

　ブレイキングダウンといえば“不良”、“乱闘”のイメージが強いが、それだけではない。川島のような選手を通じて“1分間の競技性”、“他ジャンルとは別種の強さ”について考えることもできるから面白いのだ。