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オリンピックPRESSBACK NUMBER
“理不尽にもほどがある”スケボー五輪代表争い…「仲はいいですけどね」「ムカつくけど最強」堀米雄斗の名を白井空良22歳があえて出す理由
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byYuki Suenaga
posted2024/03/08 11:03
2023年12月スケートボード世界選手権での(右から)3位の堀米雄斗、優勝の白井空良、2位の根附海龍。五輪代表争いは“理不尽”ながら熱を帯びる
「いつひっくり返されてもおかしくないけど、あいつらがいるから引き締まるし、せっついてもらってる。何が怖いかって俺や雄斗のような技は持ってないけど、ミスらないんですよ。『なんでそんなリスク取るの? ミスる気しないの?』って聞くと、『ええ、まあ』って。もう頭おかしいなって(笑)。自分なんてあまりいいマインドを持ってないから、100回やって98回決まるっていうトリックでも会場ではミスる気しかしないですもん」
「堀米はムカつくけど最強」に混在した心の内
メンタリティの違う新世代に振り回されつつ、それでもやっぱり一番意識するのは唯一の年上である堀米雄斗のようだ。ある大会では「堀米はムカつくけど最強」と言ってみたり、今回のインタビューでもたびたびその名前を口に出した。
そこには対抗意識と敬意と、白井なりの計算が混在していた。
「別にそこまで意識しているわけじゃないんです。意識していたらむしろ名前は出さないと思う。ただ雄斗はオリンピックで優勝して知名度があるし、どういう滑りをするかもみんなが知っているから、雄斗の名前を出すのが一番伝わりやすい」
東京オリンピックでは白井が対応しきれなかった巨大なセクションを攻略し、堀米は一躍スターダムを駆け上がった。トリック云々の技術レベルではなく、巨大なセクションに普段の技術を対応させるという「経験値」において差を感じたという。「あんなんできるんだ」というのが、当時の白井の素直な思いだった。
「東京オリンピックは雄斗を潰しにきたパークだった。だから本当に雄斗はよくやったと思いますよ。あれはナイジャとかが勝つように考えていたんだろうなと。やっぱりそういうのはあるんですよ。どの競技でもそうだと思いますけど。ベーシックなコースを作ったら日本人が表彰台独占しちゃう。だからデカくしたり、ギャップを作ったり、癖をつける。俺がそう思ってるだけかもしれないですけどね」
不思議とみんなと違う動きが得意だからできちゃう
パリ五輪に向けては、単発のトリックを披露するベストトリックに比べて日本人が比較的苦手とされるランのポイントが必ず合計点に含まれるルール変更がなされたり、セクションも単純なものが減って発想力が求められるようなものが増えてきている。パリ五輪のコースレイアウトはまだ発表されていないが、その方向性は変わらないだろう。
日本勢の中で“欧米の壁”を突破できるのは堀米と今の自分。白井の考えだ。