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「下手くそになったな、って見られるのが嫌で」30歳で引退・岩渕真奈が“最後のオファー”を断った理由…若手には辛口「ギラギラ足りない」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2024/02/28 11:03
ドイツ、イングランドと海外でプレーした時間も長かった岩渕真奈。海外移籍を強く推す理由がある(写真は2022年アーセナル時代)
「その時は城彰二さん、中田浩二さんがいて私は3番手に質問が回ってくる感じでした。だからあんなことを言おうって思ってもお二人に言われてしまったりするんですけど、考えて伝えるっていうのが結構楽しくて。現役時代、解説とかに上から言われている感じがイヤだったから自分が引退してもそんなのやらないって思ったんですけどね。伝え方っていろいろあるし、それはそれで楽しいなっていう段階です」
現在ではバラエティ番組を始め、関西ではレギュラー番組も持つことになった。露出アップは徐々にではあるが順調に進んでいるようだ。
「大半はサッカーを通してできた友達なんです」
また、本人が引退会見で発表したとおり、レスリングの登坂絵莉、テニスの穂積絵莉とともに一般社団法人を立ち上げたところだ。岩渕はその思いを語る。
「スポーツには勝負以外の素晴らしさがあると思うからそれを伝えていきたいなと思っています。例えば日本代表だって、強くなきゃ応援してもらえないみたいな勝利至上主義ってあると思う。それってもったいないというか、スポーツの楽しさを伝えるために、自分たちにも何かできるんじゃないかと思っています」
原点には、小学校時代に自閉症児とともに運動会で走った経験がある。普段スポーツやアスリートに触れる機会の少ない彼らのような人たちにいかにスポーツに触れてもらうか、また子供にスポーツをさせることに尻込みしてしまいがちな親御さんたちにも機会が提供できればと考えている。
「結局、自分の友達の大半はサッカーを通してできた友達なんです。仲間と何かを成し遂げる楽しさを誰でも感じられるのがスポーツだと思うんですよ。子供のときから上手い下手が物を言うときってあるとは思います。でも、そういうのとは関係なく、楽しいじゃんっていうのを知ってもらえたらいいなと思っています」
30歳での引退に、「まだまだプレーできそう」「もったいない」という声は多い。ただ、岩渕の今後を考えれば、早く辞めたメリットも少なくない。生き生きとプランを語る姿を見て、そんな思いにさせられた。岩渕ならきっと、女子サッカー選手の新たなセカンドキャリアの形を見せてくれるに違いない。
(全2回)