最新のタイトル戦で周囲の期待を超える勝ち方をした後で、中谷のパウンド・フォー・パウンド・ランキング入りも考慮されるのではないでしょうか。実際にランク入りするかはわかりませんが、遠くない位置まで来ています。少なくとも11〜15位に入るでしょう。世界最高級のボクサーであり、本当にダイナミックな選手です。

　中谷は階級を上げ続けていますが、井上尚弥（大橋）同様、昇級のたびに強烈なパフォーマンスを披露し続けていますね。階級を上げるたび、パンチの効果が増しているような印象すらあります。井上尚弥はスーパーバンタム級で戦っている現時点で身体が出来上がっている感じですが、中谷はまだまだ階級を上げられそう。あの身体つきであれば、スーパーバンタム級、フェザー級、そしてスーパーフェザー級あたりまでいけるのではないでしょうか。その可能性は本当に無限大です。

中谷潤人のラッシュでキャンバスに崩れ落ちたサンティアゴ　©︎Naoki Kitagawa

　個人的には今後、ドネアとの第1戦で井上尚弥が右目を骨折したときのように、中谷が苦境に立たされたときにどう対処するかを見てみたいです。サンティアゴ戦では被弾しても平気な顔をしていましたが、ビッグパンチを浴びても耐え抜く打たれ強さを持っているのなら、行く手には楽しみな未来ばかりが広がっているはずです。

「まだ6ラウンドだが、バンタム級No.1」

　バンタム級では一戦しかこなしておらず、6ラウンドを戦っただけですが、私はすでに中谷がバンタム級のNo.1ボクサーだと思っています。WBO王者ジェイソン・モロニー（豪州）、IBF王者エマヌエル・ロドリゲス（プエルトリコ）、WBA王者・井上拓真にも敬意を払っていますが、彼らが中谷を倒せるとは考えていません。

　それでもその真価を証明するため、近年の世界ボクシングの潮流にならい、中谷ももうしばらくこの階級に止まり、統一路線を進んで欲しいというのが私の希望です。特に中谷は下の階級では統一戦に臨んだ経験はないだけに、興味深い道のりになるでしょう。

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