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「井上尚弥に試練があるとすれば中谷だと思う」26歳中谷潤人“衝撃TKO”に海外記者が異例コメント「タクマも最高の出来だったが…」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2024/02/26 11:15
WBC世界バンタム級王者決定戦で王者アレハンドロ・サンティアゴに6回TKOで勝利した中谷潤人(26歳)。無敗で3階級制覇を達成した
当時無敗のコンテンダーだったゲリー・アントニオ・ラッセル(アメリカ)に0-2の判定まで粘り、ドネアに勝って世界王者になったサンティアゴは実力のある選手です。それほどの好選手が何もできませんでした。中谷はバンタム級への昇級初戦で、開始ゴングから相手を完全に支配した上でKO勝ちを収めてしまったのです。
KOシーンは電撃的なものでした。打ち下ろしの左で奪われた最初のダウンからサンティアゴは何とか立ち上がったものの、その時点で試合はもう終わったも同然でした。強烈なフィニッシュをもたらした右フックも見事でしたね。
トップファイター同士の対戦が、あれほど一方的に決着に至るケースはそれほど多くはありません。下の階級から上げてきたばかりの中谷の方にすでに身長、リーチで大きなアドバンテージがあったことを考慮した上でも、あそこまで戦力に差があったことは私にとってもサプライズ。2回終盤、右を決めたシーン以外、サンティアゴの側に見せ場はありませんでした。
グレイ氏が語る“最大の長所”とは?
中谷には多くの長所がありますが、私が最も感心させられたのは距離を本当に上手にコントロールしたことです。あれほど長身のボクサーにとって距離の取り方は常に大事ですが、サンティアゴ戦での中谷はいつでも自分の好む位置にいて、相手が内側に入り込もうとした場合にはすぐに強打を打ち込んでいました。
周囲の度肝を抜くようなKOを生み出したのであれば、当然、周囲の目はそのパワーに集中します。ですが、中谷は距離の取り方にも秀でているため、絶えず快適に戦い続けることができるのです。これらの特徴は、中谷が単なる強打者ではなく優れたリングIQを備えていることを示しているのでしょう。