「井上尚弥に試練があるとすれば中谷だと思う」26歳中谷潤人“衝撃TKO”に海外記者が異例コメント「タクマも最高の出来だったが…」

　次世代の最強ボクサーが躍動した一戦――思わずそう形容したくなるほど、中谷潤人（M.T）が3階級制覇を果たした一戦で披露した強さは見事だった。

　2月24日、両国国技館で行われたWBC世界バンタム級王者決定戦で中谷は王者アレハンドロ・サンティアゴ（メキシコ）に6回TKO勝ち。前戦でノニト・ドネア（フィリピン）を下して王座についた王者から2度のダウンを奪い、圧倒的な強さで新王者となった。戦績を27戦全勝（20KO）にのばした26歳は次戦で誰と戦うべきか。バンタム級での統一路線とともに、そろそろ一部から期待の声が挙がり始めた“モンスター”とのスーパーファイトは現実的なのか。

　試合後、リングマガジンの元編集人であり、現在はスポーティングニュースで健筆を振るう英国人ライター、トム・グレイ氏に意見を求めた。グレイ氏は軽量級、アジアのボクシングにも精通しており、その言葉には常に説得力がある〈以下、グレイ氏の一人語り〉。

田中恒成も井上拓真も見事だったが……

　東京で行われた最新のビッグイベントはまたも素晴らしい内容になりましたね。田中恒成（畑中）がクリスチャン・バカセグア（メキシコ）とのWBO世界スーパーフライ級王者決定戦に判定勝ちし、日本史上3人目の4階級制覇を果たした戦いは上質なものでした。メインに登場した井上拓真（大橋）がヘルウィン・アンカハス （フィリピン）にKO勝ちを収めたWBA世界バンタム級タイトル戦も見応えがあるものでした。

　ただ、この夜のベストパフォーマンスで魅せたのは中谷に違いありません。あんなすごい勝ち方をされたら何が言えるでしょう？

【次ページ】　「トップ同士の“一方的な決着”は貴重」