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「原点に戻ることはできたかな」田中希実(24歳)が語った米国の室内レースで日本新記録も悔しさのワケ「チャレンジしてよかったなと思います」 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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photograph byAyako Oikawa

posted2024/02/28 18:16

「原点に戻ることはできたかな」田中希実(24歳)が語った米国の室内レースで日本新記録も悔しさのワケ「チャレンジしてよかったなと思います」<Number Web> photograph by Ayako Oikawa

2月に行なわれたボストンの室内1500mとニューヨークでの室内2マイルレースで日本記録を更新した田中希実(24歳)

 1500mのレースから1週間後、田中は2マイル(3200m)に出場し、9分16秒76の日本最高記録を出した。1周68秒と速いペースで進むと、田中は集団の真ん中でレースを進め、中盤、先頭から離れたが(1500m自己ベスト4分1秒台の)米国のヒルツと競り合いを続け、5位でフィニッシュした。

 五輪メダリストのミュラーが英国新、3位のモンソンが米国記録という高速レースだった。

「今日は余裕がなかったので少し守りのレースになってしまいました。でもヒルツ選手のおかげで最後まで粘れたのはよかったです。強豪選手と一緒に走れるのは楽しかったし、最後まで諦めずに前の集団を追おうと思って走れました」

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 自分自身でも成長を感じつつある。

 2マイル通過の3000mの8分40秒05(公式)は昨年、自身が出した室内記録を5秒更新するものだが、「去年は3000mのレースで8分43秒くらいしか出せなかったけれど、今年は2マイルの通過で出した記録。まだまだだと思う気持ちもある一方で、成長も感じられました」

ワクワクする気持ちを持って

 2つの室内レースで田中は「ワクワクした」「楽しかった」という言葉を口にした。

「いつもはあと800mもある、ああ、あと600mもあると思うのですが、今回は『あと3周しかない』とワクワクしながら走れました。こういう気持ちを持って走ったのは東京五輪以来だと思います。今季、レースだけではなく、練習でもワクワクする気持ちを持ってやれたらいいなと思います」

 東京五輪以降、もっと強くなりたい、負けたくない、とプレッシャーをかけ、自らを追い詰めることが多かった。走る楽しさよりもつらさの方が大きいこともあった。しかし殻を破りたいと思って挑戦したレースで日本新、日本最高という結果だけではなく、走る楽しさも再確認できたようだ。

 日本の中長距離を牽引する田中希実がオリンピックイヤーにどんな走りを見せてくれるのかワクワクしながら見守りたい。

<前編から続く>

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