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女子マラソン安藤友香と清田真央。
世界に通じる“忍者走り”の秘密。
posted2017/04/17 07:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Kyodo News
「とんでもないルーキーが現れました!」
実況が興奮気味に叫ぶと、解説をつとめたシドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんも、賛辞を惜しまない。
「彼女にとって、人生を変える一本になると思います。初マラソンで初めての速さ、距離を体験したにもかかわらず、このタイムを叩きだした。それを考えれば、彼女は末恐ろしいです」
それほどまでに、安藤友香(スズキ浜松AC)の走りは衝撃的だった。3月の名古屋ウィメンズマラソンで初マラソン日本最高記録、日本歴代でも4位に入る2時間21分36秒を記録し、2位に入ったのだ。
20km以降はリオ五輪銀メダリストのユニスジェプキルイ・キルワ(バーレーン)との20km以上のマッチレースに食らいついていった。互角に渡り合ったその走りに、低迷の続いていた日本マラソン界に久しぶりの光明が見えた気がした。
続く日本人2位、全体3位にも同じスズキ浜松ACでチームメイトの清田真央が自己ベストの2時間23分47秒で入った。こちらも昨年の初マラソンに続き好記録をマークし、安定感を見せた。
目を引いた、ふたりの選手の独特のフォーム。
同チームの2選手がこれだけハイレベルな記録を残した驚きもさることながら、目を引いたのは両選手の独特なフォームだ。
両手を下げたまま、腕を振らない2人のフォームは、解説の高橋さん曰く、「上下動を少なくしてヒタヒタと走る『忍者走り』のフォームで、非常にマラソン向き」とのことだ。
安藤本人はこう語る。
「今でも周りからは『そんなフォームで進むの?』と言われますけど、自分としてはこれが一番しっくりきているので周りの声は気にしていません。昔からはずいぶんと走りも変わったと思います」