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「恐怖があるんです」田中希実が明かした1500mの“怖さ”…ケニアの2週間合宿で掴んだ手応え「負けず嫌いな気持ちもめちゃめちゃあります」
posted2024/02/28 18:15
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Ayako Oikawa
<全2回の前編/後編も配信中>
ケニアで感じた伸びしろ
「ケニアではすごく楽しくて、リラックスできました。ただただ走って食べて寝るだけの生活が好きで、みんなで走ったりするのが性に合っていると思いました」
今季、田中希実は1月14日の全国女子駅伝でシーズンインした。兵庫県代表として2区を走り、19人抜きで区間賞を獲得すると、その2日後にはケニアに飛び、10km走でロードの世界記録を持つアグネス・ゲディチなどと共に練習を行った。
ケニアでの約2週間は次のレースの事を一切考えずに頭を空っぽにできた。きつい練習をし、ぐっすり寝て、夜明けと共に目を覚ます。
「ハードワークの日はちょっと憂鬱になることもあったんですけど」と話すように、ペースを上げ下げしながらの60分走、ロードでの5kmー4kmー3kmー2kmー1kmのインターバルなど、練習は強度、ボリューム共に高かった。
「皆はインターバル間の休みもほとんどなく走るんですけど、私は最初からしんどいし、ひたすら全力でした。余裕がなくて、地力がまだまだ足りないと感じました」
一方で自身の伸びしろも感じた。
「世界記録保持者と同じようなレベルで練習したら、自分は全然ついていけない、ダメかもしれないという覚悟はあったけれど、でも一緒に練習をしたことで、自分にはまだまだ伸びしろがあると感じました」
田中の父で指導をする健智コーチは「いくつかメニューを間引いたりしましたが、彼女たちの練習に加わってすぐに同じ練習ができてしまったことにすごいな、うれしいなと思いました」と成長に頬を緩ませる。
展開が読めない1500mには恐怖感も
ケニアではレースのことは考えず、全力で練習に向かった。心地よい疲れと共に眠りにつく。日々の喧騒から逃れたリフレッシュ休暇のような感じだったのだろう。しかし目の前にレースがある現実に戻り、「走るのは好きですが、競技は根本のところでは好きじゃないのかもしれない」と吐露する。