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出産、シード落ち、10年優勝なし「そろそろ引退したら?と思う人もいる」それでも、横峯さくら(38歳)が“プロゴルファー”にこだわる理由
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2024/02/20 06:00
1月、練習場で黙々とボールを打っていた横峯さくら。今シーズンに向けた意気込みを語った
「アメリカでは、ツアーの試合会場に託児所があって、子育てしながら第一線で活躍している選手がたくさんいた。そういう姿を間近で見てきたので、私もそうなれたらいいな、と思って」
子どもを望むなら現役から退かなければいけない――当時は母かプロ続行かの“二択”しかないと思いこんでいたが、覆された瞬間だった。
横峯は子育てしながら働きやすい環境作りを、国内女子ツアーに提言してきた。実際、同ツアーに参戦する“ママさんゴルファー”の数は増え、託児所が設置される会場もある。いまも、後輩たちのために“人生の選択肢”が増えることを望んでいる。
「私がアメリカでそういう生き方が良いなと刺激を受けたみたいに、『さくらさんが子供を連れながらやっていたから、いつか私もそういうことできるかな』って、若い選手の将来的な選択肢の一つになれたら嬉しいです」
スイングに影響が出た産後の体型変化
ただ、自ら決断したとはいえ、子育てしながらプロアスリートとして活動することは想像以上に難しかった。悩みの一つに、出産後に骨盤が広がるなど体型の変化への適応があった。特に、ゴルファーにとって生命線であるスイングの感覚を取り戻すまでには多くの時間を費やすことになった。
そこで、横峯は一昨年のオフに、産後の体型戻しに本格的に取り組んだ。
「2022年11月中旬から約5カ月、ほぼ休みなしで、ずっとトレーニングしました。たまには旅行に行きたかったけど、息子ともたくさん遊びたかったけど、それもグッと我慢して……いろんなことを制限しました。勝つためには仕方ないと割り切っていました」