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史上最高の175億円超! 潤沢な米女子ゴルフ、来季は“9名の日本人”が席巻!? あと一歩の畑岡奈紗、渋野日向子の再出発、サバイバル突破の新顔
posted2023/12/26 06:04

熾烈な予選会を突破し、2024年米女子ツアーの出場権を獲得した吉田優利(左)と西郷真央。賞金総額は過去最高175億円超、戦いは1月から始まる
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桂川洋一Yoichi Katsuragawa
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Yoichi Katsuragawa
車窓に流れる景色に、びっくりしてレンタカーを停めた。
米国南部アラバマ州の南、モービルという街。ひっそりとした片田舎の風景に突然、「日本庭園」の文字が並んでいた。
静まり返った朝の“庭園”には確かに背の高い松の木や、蓮の茎がのぞく大きな池が。こちらのオープンスペース、地元の慈善団体によって運営されているらしい。
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足元に石製の記念碑があった。「市原市・モビール市 姉妹都市締結15周年記念植樹」と刻まれている。市街でアジア人をほとんど見かけなかったこのエリアがまさか、千葉県の市原市と長くかかわっていたとは……。
11月末から12月初旬、当地で行われたのは米国女子ツアーのQシリーズ。翌シーズンの出場資格を争う3ステージに渡る予選会の最終ステージで、参加した104人が6日間108ホールの戦いに臨んだ。昨年までの8日間144ホール(2週に渡って実施。4ラウンド終了後に3日のオフがあり、2週目は同じアラバマ州内の別のコースで行われた)から短縮されたとはいえ、長丁場には変わりない。しかも悪天候により3日目が中止、順延となりゲームは結局7日間に及んだ。
強行スケジュールで臨んだサバイバル
日本勢は3人が出場した。来季の職場を占う大一番に、それぞれが初挑戦。10月10日時点での世界ランキング上位75位までの資格で2次予選会までを免除された吉田優利(23歳)と西郷真央(22歳)、10月の2次を突破してきた馬場咲希(18歳)の3人である。
プロとしてのキャリアを重ねてきた2人は直前まで国内ツアーを戦い、吉田に至ってはシーズン最終戦を宮崎で戦ってからすぐに海を渡るというスケジュールを組んで米国にやってきた。強行日程もなんのその。優先的な出場権を得られる上位20位タイまでの通過ラインを目指して初日から4位で滑り出し、上位でプレーを続けた。
「この試合のためにピークを持ってくるように調整していた」という。6ラウンドと長く、ターゲットが優勝ではない、普段とは違うサバイバルゲーム。身体にできるだけ疲労を溜めないよう、フルパワーでクラブを振らずにホールを進めた。