宮川　調教は上手いと思います。馬によって性格が違うんですけど、それに合わせて乗ってくれます。主人は打越勇児厩舎という地方競馬全国リーディングを何度も獲った厩舎の所属で、もちろんいい馬が多く入ってくるんですけど、あれだけ結果を残しているということは調教している人たちの技術もあるのだと思います。だから、夫も調教から馬のことをすごく考えてくれているんだなと思います。

――レースではどう乗ってほしいなど指示は出しますか？

宮川　出さないですね。馬は乗って感じるものがあると思うので、「この騎手を乗せる」と決めたんだったら、その騎手を信じようと思っています。「逃げて」と言ってもスタートしてみて逃げられる出脚じゃないこともあります。でも、指示を出したばかりに無理して逃げることになっても嫌なので、本人が思うように乗るのがたぶん一番いいだろうと思います。

今の女性騎手をどう見ている？

――いまではJRAでも女性騎手がグンと増えてきました。どう見ていますか？

宮川　まず、JRAの騎手は男女関係なくプロ意識が高くて、研究熱心だなと思います。その上で、女性の新人騎手に与えられる4kgの減量特典は大きいと思います。4kg減を与えることで女性騎手が活躍できる環境を作るのはすごくいいことですけど、それが本当にいいのか悪いのか、とは思います。

――ご自身の実体験としてもありますか？

宮川　私の時は勝利数に応じて1kg減まで変わっていったんですけど、4kg減と1kg減って全然違うんですよ。4kg減の時はどんな馬でもスタートを出てしまえば序盤から先頭に立てて、勝てました。それで自信がついて良い方に向けばいいんですけど、私のように勘違いすることもあると思います。ジェンダーギャップをなくそうと言っている時代に、走るのは馬なのに女性騎手にだけ減量をつけるのは疑問ではあります。私は、早く減量を取りたかったですね。

――勝つことで自信がついてはいきますけど、弊害もありますね。

宮川　同期の（森井）美香はすごく苦労したんですよ。4kg減があったけど、騎乗馬の質などでなかなか勝てなくて。でも、そこからの反骨精神でたくさん勝ちました。実質5年強の現役生活で125勝を挙げたのを見ると、若いうちに苦労することも必要ではあるのかなと思いますし、どちらがいいのかは分かりません。

＜つづく＞

#3に続く

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