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騎手の夫に「もう辞めたい」700勝ジョッキー・別府真衣が弱音を吐いた日…本人が明かす、高知競馬から消えた“10カ月休業”の真相
text by
大恵陽子Yoko Oe
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2024/02/12 06:01
通算746勝を挙げ、2021年に騎手を引退した別府真衣。2018年に結婚した夫にじつはある相談をしていた
宮川 今までにはなかったことで、貧血やいろんな症状が出るようになったけど、ストレスからくるものなのか何なのか分かりませんでした。甘えというか、気持ちの問題だろうなと思っていて、「いやいや違う。体調は悪くない」と言い聞かせて、自分を奮い立たせていました。だけど、それがすごくしんどくなってきてしまって、「もうどうしよう」と悩み始めました。
夫に相談した「もう辞めたい」
――自分を奮い立たせれば立たせるほど、体にも無理をさせてしまっていたかもしれませんし、悪循環に陥ってしまいそうです。
宮川 すごくしんどいな、と感じていた時に相談できたのが夫でした。「もう辞めたい」と言ったんですね。そうしたら、「いやいや、ちょっと待って。辞める決断をするのはまだ早いんじゃない? 1回、休んでみたら?」と言ってくれたんです。そこで、騎手を休養する決断をしました。
――騎手は怪我でもない限り、毎週あるレースを休むという概念はほぼありませんでしたが、ご主人である宮川実騎手が背中を押してくれたんですね。休養期間中はどのように過ごしたんですか?
宮川 最初の2~3カ月ぐらいはずっと寝たきりみたいな状態で、ボーッとしていたら夜でした。何かしないといけないな、と思って、ヨガやマッサージ、温泉に行ってみたりして、自分の体と向き合う時間を持ちました。そうしてちょっとずつ元気になっていきました。
――再びレースに乗りたいと思ったきっかけは?
宮川 競馬はあんまり見ていなかったんですけど、ちょっと前向きになってきたタイミングでレディスヴィクトリーラウンドという女性騎手戦があって、それを見て「やっぱり馬に乗りたいな」と思いました。だけど、いざ復帰してみても以前みたいに乗れなくて、「乗せてくださる人にも失礼だな」と思って、自分の中で踏ん切りがつきました。好きというだけじゃダメだなって。
夫に告げた「やっぱり無理やった」
――引退することは、ご主人にはどう伝えたんですか?