“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
“17歳でJデビューの天才”が1年で構想外…それでも中村敬斗23歳が森保Jで序列アップした理由「三笘選手がいるのに…素直に嬉しい」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJFA/AFLO
posted2024/01/30 17:03
アジア杯では2試合に先発した中村敬斗(右)。世代別日本代表でも共にプレーしてきた久保建英らとのコンビネーションにも期待したい
トゥエンテでは開幕戦でいきなり移籍後初ゴールを決めて驚かせたが、相手のレベルが上がったことで徐々にノッキングするシーンが目立つようになった。もともと「自分が決める」意欲が強いあまり、独りよがりのプレーになってしまう癖があったのだが、得意のカットインがハマれば強烈な破壊力を見せられる一方で、試合から消えてしまうことも珍しくなくなり、リーグ終盤になるとメンバー外の試合が増えていった。
オランダをわずか1年で去ることになった中村は、ベルギー1部のシント・トロイデンへ。そこでも日の目を見ず、さらに2021年2月にはオーストリア2部(LASKリンツが保有するセカンドチーム)に活躍の場を移した。
「苦しかった。思い描いていた海外での自分とは違った」
目標としていたA代表はおろか、どんどんステップダウンしている……。しかし、この経験が中村を強くする。
「外国人選手である以上、どの立場、どの状況においても結果を残さないといけないというのが定め。オーストリアは組織的なプレーやパスなどのクオリティーは他のリーグより低いですが、球際などのインテンシティはフィジカルサッカーがメインなので、5大リーグ(イングランド、スペイン、イタリア、ドイツ、フランス)は抜きにしても、他の国よりは強度はかなり高い。このサッカーに触れてきたので、激しい球際や粘り強い守備は自分にとって大きな武器になっているんです」
伊東純也とのコンビでブレイク
活躍が認められ、およそ半年後にLASKリンツに完全移籍すると、2022-23シーズンはオーストリア1部で14ゴールをマークした。さらに昨夏には伊東純也が在籍するフランスのスタッド・ランスへステップアップし、現在もチームの両翼を日本人コンビで担っている。
この目覚ましい成長を森保一監督が見逃すはずもなく、目標としてきた日本代表の一員となったのだった。