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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
デーブ大久保が明かすジャイアンツ若手野手の成長秘話「原監督と阿部ヘッドから“真逆のこと”を言われた門脇は…」「秋広はねぇ…頑固なんですよ」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHaruka Sato
posted2024/01/30 11:10
V奪還を目指す巨人の課題と期待を熱弁する大久保氏
ーー実際には?
大久保 僕が西武のコーチのときはちょうどおかわり(中村剛也内野手)や栗山(巧外野手)らが出てきた時代で、彼らはキャンプで1日3000スイング、シーズン中も1日1000スイング振っていた。で、時代を鑑みてジャイアンツではキャンプでは2000スイング、シーズン中は半分の500スイングを目標にしたんです。ただ僕らコーチがやっているかどうかを見ちゃうと、それはやらせる練習になっちゃうんで、見ないようにした。すると正直、やってない選手は多かったです。練習を終えた姿を見れば分かる。汗もかかずに500スイングは振れないですから……。
ーー手を抜いている選手が多かった……。
大久保 ただ、その中で門脇はやっていましたね。
「ショートゴロはヒットとみなすよ」
――門脇誠内野手ですね!
大久保 彼は500スイングしような、と言うと、それ以上に振り込んでいた。で、そういう練習をするときに、『何のためにやるんですか?』という表情がないんです。やるって決めたんだからやるんだ、と……だから出てきますよね。彼は最初から守備はピカイチだった。課題はバッティングと言われていましたが、キャンプの紅白戦かシート打撃でライト線にパチンと打って2安打して、原監督も我々も『あれ、思い切りいいな。コイツいいな!』っていう思いを持っていた。
――逆方向の打球もしっかり振り切って打ち返している印象はありましたよね。
大久保 でも試合で使われだすと、だんだん振れなくなってくるんです。振ろうとすれば(変化球で)落とされる。待とうと思えば真ん中に真っ直ぐを放られる。そんな状態が結構あったんです。それで悩みまくって、原監督からは『もっと引っ張れ』と言われる。(阿部)ヘッドは『ショートゴロはオレはヒットとみなすよ!』と。どっちも正解だけど、本人はすごい人に真逆のことを言われているから、どっちもやろうとするわけですよ。でも最終的には自分で処理していって、練習方法も色んなところから情報を集めて自分でルーティンを決めて、こういう打ち方しようと。で、最後は近本の真似をし始めたんですね。
――阪神の近本光司外野手ですか?
大久保 そう。コイツ何か近本っぽい見送り方してくるようになったなって。
――どんなところがですか?
大久保 ひとことで言えば、打席で打たない感じで球を見るんですよ。