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「ルールありきでなく、何が目的かを考えようと…」《大学ラグビー3連覇》帝京大“令和の新黄金期”のキーワード「余白」と「行間」のナゾ

posted2024/01/26 17:00

 
「ルールありきでなく、何が目的かを考えようと…」《大学ラグビー3連覇》帝京大“令和の新黄金期”のキーワード「余白」と「行間」のナゾ<Number Web> photograph by JIJI PRESS

ラグビー大学選手権決勝で明治大を下し3連覇を達成した帝京大。令和の時代に変わった部分があった…?

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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JIJI PRESS

 どれだけ悪条件が襲ってきても、王者は平気だった。

 1月13日に国立競技場で行われた第60回ラグビー大学選手権決勝。帝京大学は34-15で明治大学を破り、3年連続12回目の優勝を飾った。

 午後3時19分という異例に遅い時間のキックオフ。試合開始と同時に降り出した雨。さらに雷の接近による試合中断は55分間にも及んだ。雷が遠ざかり、試合が再開されると急激に気温が低下し、今度は吹雪……そんな、めまぐるしく変わる悪条件の中でも、帝京大の強さは少しも揺るがなかった。

 逆境を克服した原動力はプラス思考だった。江良颯主将が明かす。

「プレー面では、ボールが雨で滑りやすいことは経験があったけれど、雷で中断されたのは初めての経験で、このあとどうギアを上げていったら良いか考えていたのですが、岩出(雅之)先生が『このメンバーで一緒に過ごせる時間が60分延びたってことや、嬉しいことやないか!』と言って下さって。『そう考えればいいんだ、この仲間と一緒にラグビーできる楽しみをかみしめながらプレーしよう』と考えました」

「不合理なレフリング」にも動じなかったワケ

 逆境に強かったのは決勝だけではない。準決勝の天理大戦では後半19分、アシスタントレフリーが「タッチラインを踏んだ」と判定してトライが認められなかったプレーが、直後に場内のモニターで再生され、実際は踏んでいなかった(本当ならトライだった)ことが判明。その後も相手の危険なタックルに見えたプレーが流されたり、相手ゴール前のスクラムで相手が反則を繰り返してもペナルティートライやシンビンが科されないなど、ストレスを溜めこんでもおかしくないようなレフリングが続いたが、やはり動じず、冷静に戦い抜いて勝利した。

「何を言ってもレフリーの言うことが正解ですし、レフリーさんがいるから僕らは試合ができる。レフリーへのリスペクトを忘れないで試合に臨んでいます」

 江良は試合後の会見で振り返った。その真意をミックスゾーンで再度聞く。

「1年を通して、練習では学生レフリーに、常に相手寄りのレフリングをしてもらって、それでストレスを溜めないように習慣づけてきました。高校(大阪桐蔭)時代はそんなことまで考えたことがなかったので、帝京に来てその練習をしたときは『そこまでやるんや……』と驚きました」

【次ページ】 江良と奥井…「2人のキャプテン候補」の行方

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