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山川穂高32歳⇔和田毅42歳ではなく甲斐野央27歳“プロ初対戦は西武・山川”の因縁…「FA人的補償で電撃移籍」工藤公康、内海哲也や田中正義も 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/01/12 17:03

山川穂高32歳⇔和田毅42歳ではなく甲斐野央27歳“プロ初対戦は西武・山川”の因縁…「FA人的補償で電撃移籍」工藤公康、内海哲也や田中正義も<Number Web> photograph by JIJI PRESS

山川穂高と甲斐野央。FA移籍と人的補償でそれぞれ新天地へと移る

 この年は、このたびMLBパドレスへの移籍が決まった桐光学園の松井裕樹がドラフトの目玉で、5球団競合を経て楽天に入団した。なお西武は大阪桐蔭高校の強打の捕手、森友哉を1位で指名(現オリックス)している。

 山川と同じ大学世代では、広島が1位指名した九州共立大の大瀬良大地、阪神1位指名の横浜商科大の岩貞祐太、さらに独立リーグ香川から中日に独立リーグ史上最上位となる2位指名された又吉らが注目されたドラフトではあった。

甲斐野と山川のプロ成績を見比べてみると

 それから10年、実績でいえば、本塁打王3回、打点王1回、MVP1回の山川は、首位打者1回、MVP1回の森友哉を抜いて「この年のドラフトで最も活躍した選手」だったといえよう。なお甲斐野と山川、2人のプロ入り後の通算成績(2023年終了時点)は以下の通り。

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・甲斐野央
160試合7勝8敗11S41H147回164奪三振 防御率3.43
・山川穂高
786試合2664打数681安打218本塁打575打点 打率.256

 山川は大卒1年目のイースタン・リーグでいきなり21本塁打、そのパワーは圧倒的だったが、課題は一軍クラスの変化球に対応する技術と守備力だった。

 筆者は毎年、宮崎県日南市の西武の春季キャンプを見てきたが、全体練習が終わった後、メイングラウンドの下に広がる多目的広場で、一人ノックを受けていた。ノッカーが転がすボールを右へ左へと延々と追いかける山川の姿は鬼気迫るものがあった。

 西武にはほぼ同じ体型の中村剛也というスラッガーがいる。中村と山川は同じ右打者で、打席での構えもよく似ていて、遠目では区別がつかないくらいだが、両者は左足の踏み出し方の違いで区別がつく。中村は左足を真上に軽く上げるのに対し。山川は小さく上げた左足をステップを踏むようにスライドさせてタイミングを取る。

 ちなみに昨年のオリックス頓宮裕真の打撃フォームは、山川とそっくりだった。前年オフに山川と自主トレをした頓宮は、山川から独特の打撃フォームを伝授されたのだ。

 中村剛也は「ボールをバットに乗せる」打法で、滞空時間の長いホームランを打つことが多いが、山川穂高は「ボールを押しつぶす」ように、打球速度の速いホームランを打つ。

 似たような体型の2人だが、対照的なタイプのスラッガーで、それが西武ライオンズの最大の魅力の一つだった。

WBCでも代打の切り札だったが棄損した「信頼感・信用」

 そしてこの度のWBCでも山川は、代打の切り札的な役割で、世界一に貢献していた。

 多くは言わないが、彼はそうしたプロ野球選手としての「信頼感」「信用」を、自らの愚行で棄損した。

【次ページ】 過去には大物選手がFA人的補償に選ばれたことも

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