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山川穂高32歳⇔和田毅42歳ではなく甲斐野央27歳“プロ初対戦は西武・山川”の因縁…「FA人的補償で電撃移籍」工藤公康、内海哲也や田中正義も
posted2024/01/12 17:03
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
一度は「和田毅」と報じられた山川穂高の人的補償は、一転、甲斐野央になった。ライオンズは和田毅に意向を打診していたが、何らかの理由で甲斐野に変更したという。決定前に情報が漏れたのが問題だったのか、それとも別の理由があったのか?
そもそもFA移籍したこと自体が物議を醸した山川穂高の人的補償ではある。誰になっても難しい話ではあった。
ただ甲斐野央は、誰もがその実力を認めながら、さらにもう1つ上の実績を挙げられるであろう投手であり、人的補償での移籍に最適だったといえるかもしれない。
大学時代、最速158キロをマーク→外れ外れドラ1
甲斐野は名門・東洋大姫路高校でプレーするも甲子園には出場せず。東洋大学時代は3年秋から頭角を現し、大学侍ジャパンのメンバーにもなった。救援に適性があったのだろう。188cm、92kgの恵まれた体から投げ下ろす速球は大学時代、すでに158km/hを記録。2018年のドラフトでは大学屈指の好投手とみなされていた。
ただこの年は大阪桐蔭の甲子園春夏連覇の年であり、根尾昂、藤原恭大の大阪桐蔭勢、報徳学園の小園海斗、金足農の吉田輝星などの高校生が有望で、甲斐野はソフトバンクが小園海斗、立命館大学の辰己涼介のくじを外した後の外れ外れ1位で指名された。
ちなみにこの世代の東洋大は空前の豊作で、DeNAが1位で上茶谷大河(投手)、中日が2位で梅津晃大(投手)、オリックスが7位で中川圭太(内野手)、さらに藤井聖(投手)はENEOSを経て2020年楽天のドラフト3位、末包昇大(外野手)は大阪ガスを経て2021年広島のドラフト6位で入団している。しかも単にプロ入りしただけでなく6人全員が一軍で活躍している。こういう事例は、あまりないのではないか。
プロ初対戦の相手は、なんと山川だった
甲斐野は新人の春季キャンプをA組でスタート。オープン戦の成績は7試合0勝1敗1セーブ、6.1回自責点6の8.53と必ずしも良くなかった。奪三振4に対して与四球5とやや乱調だったが、これは最終の2試合で4失点したためで、それまでは勢いのある速球が大いに目立っていた。