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《秘蔵カット満載》今季ドカティで新たな挑戦に臨むマルク・マルケスの写真が語る、15歳から30歳までの驚異的キャリア
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2024/01/11 17:00
ホンダでの最後のレースとなった2023年最終戦バレンシアGPでのマルケス。ヘルメットには「感謝」の文字があった
2015年 マルケス史上もっとも“荒れた”シーズン
絶対王者として君臨していたマルケスは、2015年のアメリカズGPで伝説となるPP獲得劇を演じた。最終コーナーを立ち上がりマシンがスローダウン。マシンをピットウォールに立てかけると、そこからピットウォールを飛び越えてピットロードへ。全力疾走でレプソル・ホンダのピットまで約400メートルを走り、休む暇もなくマシンを乗り換え、ラストアタックでPPを獲得してしまった。
この年もタイトル獲得間違いなしという速さだったが、第3戦アルゼンチンGPで優勝争いをしたバレンティーノ・ロッシと接触して転倒。このアクシデントをきっかけに、二人の関係は急速に冷え込んでいく。この年のマルケスは、5勝するも6回の転倒リタイアでタイトルを逃すという荒れたシーズンを送った。
2016〜19年 強さを見せつけての4連覇
マシンに共通ECUが採用された16年は、9人のウイナーが誕生する大荒れのシーズンとなる。その中で5勝を挙げたマルケスは3回目のタイトルを獲得。
17年は6勝を挙げて4回目、18年は9勝で5回目、19年はシーズン12勝を挙げて6回目のタイトルを獲得。この3年はマルケスの大活躍により、ホンダがコンストラクターズ、チームタイトルも獲得した。
2020〜23年 ケガに始まった絶対王者の低迷
20年はコロナ禍でシーズンの開催が危ぶまれたが、MotoGPクラスは14戦で戦われた。その開幕戦となったスペインGPで、マルケスは大転倒を喫し右上腕骨を骨折。再手術やリハビリの影響が長引き、それ以来、タイトル争いに加わることはできなかった。
しかし21年にはシーズン3勝を挙げて完全復活が期待された。エミリア=ロマーニャGPの予選では転倒寸前の走りをリカバリーするなど本来のマルケスの走りが蘇ったが、ホンダのマシンのパフォーマンスの低下もあり、22年はランク13位、23年はランク14位と苦戦が続いた。
それでも23年はポルトガルGPでMotoGPクラス64回目となるPPを獲得。日本GPでは3位表彰台に上り、最終戦バレンシアGPのスプリントで3位になりメダルを獲得。目立つ成績といえばそれくらいで、ホンダでの最後の記録となった。