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《秘蔵カット満載》今季ドカティで新たな挑戦に臨むマルク・マルケスの写真が語る、15歳から30歳までの驚異的キャリア
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2024/01/11 17:00
ホンダでの最後のレースとなった2023年最終戦バレンシアGPでのマルケス。ヘルメットには「感謝」の文字があった
2011〜12年 Moto2で見せた圧倒的な強さ
10年に125ccクラスでタイトルを獲得したマルケスは、11年にMoto2クラスにスイッチ。デビューシーズン序盤は転倒が多かったが、第4戦フランスGPで日本の高橋裕紀らと優勝争いを繰り広げて初優勝すると、一気に勝ち星を積み重ねてシーズン7勝を挙げた。
デビュー初年度にしてチャンピオン獲得の期待が膨らんだが、シーズン終盤のマレーシアGPのフリー走行中、スコールのため転倒を喫し左目を負傷。2戦を欠場してランク2位に終わった。そして、ホンダからMotoGPクラス参戦のオファーを受けるも「Moto2のタイトルを獲ってから」ということで、12年は引き続きMoto2クラスに参戦することを決めた。そして、12年は圧倒的な強さで9勝を挙げてタイトルを獲得した。
Moto2に参戦した2年間は、MotoGPライダーと同じくらい注目を集めた。怪我のためタイトルを逃した11年のアラゴンGPでは、シャンパンファイトで滑って転びながらもシャンパンファイトをやり続け、集中力と身体能力の高さを感じさせた。
集中力の高さはコース上でも発揮された。テストやフリー走行、予選でも、オーバーランを喫した場合、普通のライダーならちょっとした仕切り直しの時間が必要だが、マルケスはすぐにコースに復帰し、走り続けるという他のライダーが真似できないアクションを見せた。常にレースモード。集中力を切らさない走りは、まさに天才ならでは。
12年、Moto2クラスでタイトルを獲得したマルケスは、凱旋レースとなったバレンシアGPで素晴らしいレースを見せた。予選の接触事故のペナルティで最後尾33番手グリッドからウェットコンディションの決勝に挑み、1周目に22台をゴボウ抜き。さらに、ラスト3周の時点で32台目を抜いてトップに浮上し優勝してしまった。そのときの胴上げシーンは、数々あるマルケスの胴上げでも最高のショットとなった。
Moto2チャンピオンとなり、13年にレプソル・ホンダからMotoGPクラスに参戦することになったマルケスの初テストが、12年の最終戦の舞台となったバレンシアサーキットで行われた。2日間の日程で行われたが、初日は雨で走らず。2日目も雨になったが雨のあがった午後に28ラップをこなし、15台中7番手。初乗りとしては上々のスタートだった。走行終了後にはマルケス単独の会見が行われるなど、初ライドにして早くもスターライダーの仲間入りを果たした。