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33歳で戦力外通告…お先真っ暗だった“巨人右腕”はなぜ「年商160億円の社長」に転身できたのか? 第二の人生で「勝ち組」になった話 

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松永多佳倫

松永多佳倫Takarin Matsunaga

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photograph bySankei Shimbun

posted2023/12/30 11:02

33歳で戦力外通告…お先真っ暗だった“巨人右腕”はなぜ「年商160億円の社長」に転身できたのか? 第二の人生で「勝ち組」になった話<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

“昭和最後のドラフト”で巨人に2位指名を受けた松谷竜二郎

 年が明け、松谷はなんとか自身を奮い立たせ、台湾でテストを受ける以上は万全な体調に戻さないといけないと考え、自費で福岡の病院に行った。リハビリをするために入院し、懸命に肩の治療にあたる。退院後、明らかに肩の状態は少し良くなり、台湾に渡った。テストは二週間弱。巨人二軍時代にピッチングコーチで世話になった高橋一三が台湾に臨時コーチに来ており、相談した。

「実は、肩が全然ダメなんです。これで台湾で野球できますか?」

「抑えだったらイケるかもわからんな」

 2日に一回はゲーム方式で投げさせられ、真っ直ぐ、変化球、チェンジアップと騙し騙しでずっと無失点に抑えた。10日目あたりになると肩が悲鳴をあげた。高橋一三が松谷を見つけるやいなや「もう、おまえ帰れ」と言う。

 無失点で抑えていただけに、突然すぎて意味がわからなかった。

「え!? 僕抑えてますよ」

「いや、助っ人は140キロ以上の球を投げるやつじゃないとあかん」

 台湾に来ている以上、日本人の俺は助っ人なんだとあらためて再認識した。助っ人は圧倒的な力が必要だ。

「わかりました」

 松谷は荷物をまとめ日本へと帰国し、すぐに末次に報告がてら電話をする。

「台湾、無理でした。前にも話しましたように職を探さなくてはならないので、球団にあたっていただけますでしょうか」

「わかった、ちょっと待っとれ」

 いつもと同じように末次は余計なことを言わずに電話を切った。

【次ページ】 まさかの「社長」オファー!?

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