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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
監督が「不適切な行動」で解任→“監督不在”の立教大は箱根駅伝メンバーをどう決めた?「8名の主力選手が話し合い」「当落線上の主将は…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2023/12/28 06:05
箱根駅伝予選会の直前に監督が電撃解任されるも予選通過した立教大。駅伝監督不在のまま、箱根に挑む選手たちを取材した
沖縄合宿の最終メニューは、20キロ、62分設定のロング走だった。1キロ3分06秒ペースで、それなりに負荷がかかる設定だが、この日の沖縄は非常に蒸し暑かった。午後4時30分からのスタートだったが、気温が25度もあり、選手は序盤から汗にまみれ、かなりハードな20キロ走になった。
「この日は、朝8時がエントリーメンバー提出の締め切りだったので、練習の時にはすでに16名が決まっていました。最後の20キロ走は、これから区間配置を決める上でのスタミナやコース上にけっこうアップダウンがあったのでコースでの適性を見るとか、そういうところを確認するための練習でした」(中山)
中山によると、蒸し暑さに苦しむ選手が多かったが、それでも昨年よりもチーム状態が良く、走れている選手が多いので、箱根に向けて大きな手応えを感じることができたという。
記者会見でエントリーメンバー16名の選手紹介がつづく中、ひとりひとり顔と名前を追っていくと「あれっ」と思う選手がいた。
服部凱杏(4年)だ。
還ってきた中学の全日本覇者
服部は、全中1500mで優勝し、都大路2区区間賞の実績を引っ提げて立教大に入学したが、その後は故障などで伸び悩んだ。それでもスピードなど能力の高さを信じていた前監督の信頼は厚く、前回の箱根は7区を駆けた。しかし区間14位と不本意で、ただ走っただけの結果に終わってしまった。その悔しさを晴らすために、もう一度箱根で走りたいと4年生のラストシーズンに賭けてきた。
だが、今シーズンも波に乗り切れなかった。
9月の日体大記録会5000mでは15分03秒53という凡庸なタイムに終わり、箱根駅伝の予選会のメンバーからも外れた。MARCH対抗戦では2週間前に肉離れを起こし、1週間休んだ後、急ピッチで調整して出場した。その状態で思うような結果を出せるわけがなく、31分06秒27で3組最下位に終わった。
その時、服部は失意の表情を浮かべて、何かを悟ったようだった。この結果ではメンバー選考のテーブルに上がるどころか、沖縄合宿への参加も難しいだろうと思っていたはずだ。すべてが終わった感を漂わす姿を見ていただけに、あれからどう巻き返して16名枠に入ったのか。驚きと興味が膨らんだ。
いろいろ考慮してもらい、期待されて合宿に入れてもらった
服部は、「(合宿参加は)予想外でした」と苦笑した。