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杉原愛子「パリ五輪を目指す決心を…」“まさかの宣言”に込められた思い…初出場から8年、24歳が本音で語る「今は体操が楽しい」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto
posted2023/12/28 11:04
東京五輪後の“一区切り”を経て現役復帰し、来年のパリ五輪を目指すことを発表した女子体操の杉原愛子(24歳)
その質問の答えは「体操競技を野球とかサッカーのようにメジャースポーツにしたいという大きな目標があるから」という、杉原がブレずに持ち続けている思いだった。
「その目標に向かう気持ちを一番大きな舞台で見せられるのはパリオリンピックだと思ったんです」
視界に入っていなかったというパリ五輪を意識するようになったきっけかは、9~10月に中国・杭州で開催されたアジア大会だった。テレビ局のゲストリポーターとして現地に行き、国際舞台を久々に生で見て「自分自身にビビっとくるものがあった」という。
「日本代表としてまたこの舞台で戦いたい。大きな国際舞台に立って発信して体操の魅力や楽しさを伝えたい。広めたい。そういう思いが湧き上がりました」
約1カ月の熟考を経て決断
アジア大会の直後にあった世界選手権(ベルギー・アントワープ)にも背中を押された。それでもしばらくは迷いが続いたというが、約1カ月余りの熟考を経て、決断した。
とはいえ、練習量を大きく落としたところからの復帰である。日本代表入りを見据えてトップコンディションへ持って行くプロセスは簡単なものではないだろう。
これまでを振り返ると、練習は東京五輪までは週6日。「一区切り」の後は週2~3日まで落としていたが、今年6月の全日本種目別選手権の前は週3~4日まで戻していた。今は最高で週5日。一気に練習を増やすとケガにつながるため、「週4日をベースにしながら少しずつ体力を上げていき、練習量を増やしてきています」という段階だ。
杉原自身、「リオデジャネイロの時は憧れの舞台としてのオリンピック。東京五輪の時は人生を懸けて挑んだオリンピック。2度の出場で大会の重みや心理的なプレッシャーは知っています」と身構えている部分は多い。
「今、24歳で体操界では年齢的に上のほう。ジュニアの頃は不器用でできない技が多かったので、回数をかけて練習をしていましたが、今同じようにやると次の日に練習できなくなってしまう。以前は練習オーバーでケガにつながっていたこともあったので、今は質を重視して、回数と質を体と相談しながら翌日も練習できるように整えていっているところです」という。
現在24歳の杉原…体操界と年齢への思い
現在の体操界では、杉原自身が年齢規定をクリアした1年目である2015年に16歳で世界選手権初出場を果たしたように、今年の世界選手権には高校1年生の岸里奈が出場したほか、世界的に見ても10代の選手が上位に多く入ってきている。
杉原がパリ五輪を狙うとなれば、本番では24歳。低年齢が有利という見方に不安はないのだろうか。