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「パリ五輪を目指す」宣言も話題…杉原愛子24歳が会社を設立していた理由「SNSは対策をしつつ活用」「体操をメジャースポーツに」
posted2023/12/28 11:05
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Asami Enomoto
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23年は杉原愛子にとって、パリ五輪を目指しての現役復帰宣言のほかにも、大きな変化のある1年となった。3月に武庫川女子大学を卒業。22年から携わってきたコーチ業や審判員としての活動は変わらず継続しつつ、8月31日には「体操をもっと広めたい、楽しんでもらいたいという想いを込めて」(杉原)という一文を添えて「株式会社TRyAS(トライアス)」の設立を発表。23歳で社長に就任した。
「体操をメジャースポーツにしていきたいということと、それにプラスして、体操の魅力や楽しさを自分自身で発信したいという思いがありました。ジュニアの育成や強化の部分でのサポートもしていきたいと考えていて、今はその企画を進めている段階です」
これはパリ五輪を目指すと宣言したことを受けて行なった今回のインタビューで語った言葉。代表復帰という高いハードルに向かって、競技力向上に最大の精力を注ぐ時間を過ごしながら、社長としての活動にも旺盛な意欲を見せ続けている杉原は、「私自身、誰もやっていないことをやるのが好き。これまで体操界では現役選手で会社の代表をしている人はほとんどいなかったと思うので、メディアに出て体操のことを発信するということとはまた違う路線を切り拓いて、次世代の子たちのロールモデルになれるようなことをしていきたい」と先々のことまで見つめながら語っている。
「東京五輪後は視野が広がったからこそ…」
女性の現役トップアスリートで普及のための企画運営を会社社長として行なっている選手と言えば、女子バスケットボール日本代表キャプテンである高田真希選手がいる。高田選手は社長として活躍しながら東京五輪で銀メダルを獲るという歴史的快挙を演じており、杉原も「東京オリンピックの時に格好いいと思っていました」という。
これまで日本では、普及のための活動は引退したアスリートがやるものというイメージが強かったが、現役選手が行なう意義を杉原はどのように捉えているのだろうか。答えはこうだ。
「私自身、東京オリンピックまでは良い意味で一つのもの(競技一本)に絞っていました。視野が狭かったとも言えますが、とんがっていたからできたこともあります。東京オリンピック後はいろいろな立場で体操に関わって視野が広がったからこそ、一つじゃなくてもいいんじゃないかなという思いがありますし、現役選手だからこそ広げられることもあります」