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「ああ、箱根駅伝走っていないんだ」と言われて…ニューイヤー駅伝で“悲運のエース”が抱いた劣等感 国士舘大監督は「だからこそ選手に箱根を走らせたい」 

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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photograph byYuki Suenaga

posted2024/01/01 06:04

「ああ、箱根駅伝走っていないんだ」と言われて…ニューイヤー駅伝で“悲運のエース”が抱いた劣等感 国士舘大監督は「だからこそ選手に箱根を走らせたい」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

現在は国士舘大学陸上部の監督を務める小川博之。学連選抜がなかった当時、箱根駅伝に縁がなく“悲運のエース”と呼ばれた

「選手たちには頑張ってほしい。でも、一方で選手たちを羨ましいと思う気持ちもありました。走りたかったという思いは、やっぱりありましたね」

“監督”として走った第88回箱根駅伝

 2012年の第88回大会は、2代目山の神と呼ばれた柏原竜二(東洋大)のラストイヤー。観客が鈴なりの5区ではこんな経験をしたという。

「道の両側に幟が立って、ツールドフランスみたいだねって話した覚えがあります。あの当時は監督が車から降りて選手に給水するのが決まりだったんですけど、片側が観客で埋まっているから車が止まれなかった。『監督、走れますか』って聞かれて、『もちろん』と。車から降りて、ダッシュして選手に追いついて、短く声をかけました。200mくらいでしたけど、またダッシュして戻ってくる。その時に沿道から『監督、頑張ってー』って声をかけられたんです。あれはちょっと嬉しかったです(笑)」

 記録にも、記憶にも残らない小走りだったが、小川にとっては忘れられない思い出だ。

強くなるのも弱くなるのも自分次第

 いったん母校を離れ、引退後に実業団チームで指揮を執り、再び国士舘大の助監督として迎え入れられたのは2020年のこと。昨年からは監督に昇格し、低迷するチームの再建を託されている。

 指導で心がけているのは、こんなことだという。

【次ページ】 選手人生に後悔はないか? 尋ねると…

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