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「奨励会試験」を2度失敗、27歳のSEはそれでもプロ棋士を目指した…小山怜央が振り返る「サラリーマン時代」
text by
小山怜央Reo Koyama
photograph byJIJI PRESS
posted2023/12/24 06:05
今年4月にプロ棋士となった小山怜央。本人が転機となったコロナ禍と会社を退職するまでを振り返る
2021年3月24日に行われた竜王戦6組ランキング戦で、西山朋佳女流三冠(当時)に勝利して、竜王戦の連勝が四となった。竜王戦でアマチュアが4勝したのは史上初のことで、プロ相手の対戦成績は6勝3敗となった。たびたび書いているが編入試験に必要なのは10勝以上で、勝率が六割五分以上。しかし2021年から制度が改訂され、アマチュアが竜王戦の6組で優勝すれば棋士編入試験の資格が得られることになっていた。この時点でトーナメントのベスト4に進出している。つまりこの竜王戦であと2勝すれば、編入試験の資格を得ることができるのだ。
プロまで残り4勝と新生活
この大きなチャンスのことは、もちろん意識はしていた。ただ、あまり先のことは考えず目の前の一局に集中しようと思った。でも、どこか力が入っていたのか、いや、そもそもここまで来ただけでも出来すぎだったのだろう、準決勝の長谷部浩平四段戦は完敗だった。これで通算成績は6勝4敗。ここから少なくとも4勝しないと、私のプロ棋士への道は開けない。こんな状況でまた新たな生活が始まった。
<続く>
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