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石川祐希は「めちゃくちゃ負けず嫌い(笑)」…清水邦広が明かす“男子バレー日本代表の素顔”とは?「いい意味で変わらない、子供みたいな一面も」
text by
清水邦広Kunihiro Shimizu
photograph byYuki Suenaga
posted2023/12/14 11:02
パリ五輪出場を決めたスロベニア戦で咆哮する石川祐希。長く日本代表で共闘した清水邦広が明かす「絶対的エース」の素顔とは
それに、パナソニックのロラン・ティリ監督もそうなんですけど、ブランさんも、引き出しがものすごく豊富です。1週間の練習の中でもいろんなバリエーションのメニューがありますし、「こういう練習をしたい」とか「ここを伸ばしたい」という相談をしたら、それに合った練習方法を教えてくれるので、長年の蓄積、指導者の技量というものをすごく感じました。
石川祐希主将(パワーバレー・ミラノ)・アウトサイドヒッター
第6章でも触れましたが、東京五輪で僕の脳裏に一番強烈に焼き付いているシーンは、予選ラウンド最後のイラン戦・第5セット。スタートするなり石川が渾身のサーブで2連続エースを奪い、鬼気迫る表情でチームを鼓舞した場面でした。
「オレがチームを勝たせるんだ!」という気迫と覚悟がビシビシと伝わってきて、本当に頼もしかったですね。
石川と出会ったのは、彼が大学1年だった2014年に、初めて日本代表合宿に参加した時ですが、その頃はどちらかというとクールな印象でした。まだ遠慮していた部分もあったのかもしれませんが、あまり感情を出すタイプではなく、スパイクを決めてもそこまで喜ばず、淡々とやっていました。
でも年々、特に2021年にキャプテンになってからは、「自分が引っ張っていくんだ」という思いが前面に出て、キャプテンシーを発揮するようになりました。
それまでも“エース”だったんですが、そのエース感にプラスして、頼りになる“キャプテン”感も兼ね備わって、本当に絶対的な存在になりましたね。
あくまでも僕の印象ですが、キャプテンになる前は、「周りじゃなくて自分」というか、「自分が頑張ればいい」というスタンスでプレーしているように感じました。でもキャプテンになってからは、ミーティングでも率先して話すようになりましたし、周りをよく見て、「周りをどう動かしていけばいいか」「みんなにどうやって火をつけたらいいか」というのをすごく考えながら、一緒に戦おうというスタイルに変わっていったように感じます。「全員で立ち向かっていくぞ」という意志がすごく伝わってきます。みんなのベクトルを同じ方向に向けさせるのがすごくうまいですね。