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「仕事は?家はどうするの?」原晋の監督就任に妻は猛反対した…広島有名企業のサラリーマンを青学大の指導者に変えた“一本の電話”
text by
原美穂Hara Miho
photograph byAFLO
posted2024/01/03 06:00
2012年箱根予選会での原晋監督。3年後の2015年大会で大学初の箱根駅伝総合優勝を成し遂げる
「クビになったら…」の話は次第にしなくなった
最初は、もし学生を箱根に連れていけなくて監督をクビになったら、お好み焼き屋さんでバイトをして家計を支えると言っていた夫も、しだいにクビになったらという仮定の話はしなくなりました。反対されればされるほど自分を追い込み、そこでクビになるどころか残留を要請されるようになるまでやってやるぞ、と燃えるのが、原晋という人なのです。
ですから、わたしは思いきり反対をし、反対しつくしてから、最後の最後に、わたしのこれだけの反対を押し切るのだから、悔いのないようにしっかりやってほしいと伝えました。
もしも反対せず、わたしが最初から賛成していたら、夫はあそこまで本気にならなかったのではないかと思います。また、今ふり返ると、わたし自身も、全力で夫を支えよう、と気持ちを切り替えられなかったような気がします。結果として、夫を焚きつけるための猛反対は、わたし自身のためでもあったのでした。
<続く>
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