濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「あんまり胸を張って言えなくて…」悩んでいたAZMを受け入れた“5人のお姉ちゃん”との話…キャリア10周年「クソガキ全開で(笑)」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2023/11/30 17:00
2013年デビューの同期選手たちとの試合を終え笑顔のAZM。左右には赤井沙希、彩羽匠
「クソガキ全開でいかせてもらいました(笑)」
そういう、苦楽をともにしてきた「お姉さんたち」が今は団体内にいない。だが“外”にはいた。それも業界に欠かせない個性も実力もあるレスラーばかり。
「同じ10年をプロレスラーとして過ごしてきたんだなって思うと感慨深いし、嬉しくて。そんな中で私は一番年下なので、人生の先輩たち相手にクソガキ全開でいかせてもらいました(笑)。お姉ちゃんたちに囲まれて好き勝手やらせてもらう感じで。こっちのほうが素の私に近いかな。嘘泣きとか、スターダムの“パイセン”としてはあまり出ない部分が出ましたね。
一緒に試合した同期たちはみんな凄かったです。盗みたいところもたくさんあって。赤井さんの見せ方だったり山下さんの勢い、匠さんの蹴り、香萌さんのスピード、夏さんの色気……こんな凄い人たちと同期なんだなって。これでまたレベルアップしちゃいますね。この試合を今後にもつなげたい。“チーム2013年”結成のきっかけになればいいなって」
試合前は、少し気にしているところがあった。レスラーとして一般的とは言えない独自のキャリアのことだ。
「キッズファイターでデビューしたから、2013年デビューっていうのもあんまり胸を張って言えなくて。でも今回、みんなに同期としてちゃんと迎え入れてもらって。これで堂々と“2013年デビューでキャリア10年”って言えます」
“若いのに凄い”を超えたAZMの魅力
実際の話をすれば、10年続けるとは思っていなかった。中学卒業と同時にやめよう、高校までにしようと考えていた時期もある。けれど20歳を過ぎても活躍し続けて、海外で闘うことも具体的な目標になった。
「振り返ると嫌なこともありましたね。でも楽しいことがそれをかき消しちゃうんです。それに褒められて伸びるタイプなので(笑)」
21歳、キャリア11年目。“若いのに凄い”というレベルではすでにない。ジュリア戦はトップファイター・AZMとしての重要な試金石になるだろう。