濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「あんまり胸を張って言えなくて…」悩んでいたAZMを受け入れた“5人のお姉ちゃん”との話…キャリア10周年「クソガキ全開で(笑)」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2023/11/30 17:00
2013年デビューの同期選手たちとの試合を終え笑顔のAZM。左右には赤井沙希、彩羽匠
2013年デビューの同期たちとの試合
“外”で得た刺激という意味では、10月18日の新宿FACE大会も重要だった。この大会、運営はスターダムだがプロデュースをしたのはフリーの夏すみれ。スターダムに参戦していた夏も今年デビュー10周年で、記念大会の開催にあたりスターダムの協力をとりつけたのだ。
メインイベントでは夏が山下りな、小林香萌(ともにフリー)と組み赤井沙希(DDT)、彩羽匠(マーベラス)、AZMと対戦。石黒淳士レフェリーも含めリング上の全員が2013年デビューだ。AZMはスターダムでの10周年記念試合では岩谷麻優と対戦したが、これはもう一つの記念試合と言えるものだった。この大会でしか実現できないカードでもあった。
持ち前のスピーディーな動きに加えエルボーの打ち合いも。夏には得意技(?)嘘泣きも久々に見せたAZM。スターダムでの今の試合ぶり、「パイセン」とは一味違う姿が見られた試合だ。引退を控えていた赤井、アメリカでデスマッチ王者となった山下とは初めて同じ試合で顔を合わせた。彩羽が夏をフォールして試合が終わると、バックステージでAZMは言った。
「私の中で10周年を体感できる日になりました。同期っていいなと思いましたね。今、スターダムには同期がいないので。支え合うみたいな感覚がなかったんです」
リングのないマットで練習した新人時代
スターダムでのAZMの同期は、同じ日にプロテストを受け、少し早くデビューした3期生。最近WWE復帰を果たしたカイリ・セイン(宝城カイリ)、現アクトレスガールズの澄川菜摘(翔月なつみ)と(安川)惡斗、それにガンバレ★プロレスで覆面レスラーになったHARUKAZE(はるか悠梨)の4人だ。AZM以外はスターダムを退団したが、全員リングに上がってはいる。「全員現役なのは、たぶん3期生だけだと思います」と語っていたのは澄川だ。
3期生たちが練習生だった頃のスターダムは新興団体。格闘技ジムを間借りして練習を重ねた。マット運動に受身、グラウンドのスパーリング。リングがないから基礎トレーニングをひたすら反復した。そこで培ったベースがあるから、同期全員が試合を続けているのかもしれない。
「リングのないマットで基本を繰り返してきたから、リングに上がると“ロープが使える!”、“コーナーに上がっていいんだ!”ってなるんですよ。(スターダムのGMで練習生を指導していた)風香さんの存在も大きいんです。基本をみっちり教えてくれたのでケガをしにくい体になったし、プロレスが余計に好きになって。よく好きなことを仕事にすると嫌いになるって言うじゃないですか。私たちはそんなことなかった」